樋口恵子 段差を飛び越えられる「はず」。体が覚えている「はず」…<体が変わっても頭と気持ちは若いときのまま>のギャップが悲劇を生む

AI要約

総務省が公表した資料によると、総人口に占める65歳以上の割合が過去最高の29.1%と推計される。高齢化社会の中で、評論家・樋口恵子さんは長生きの秘訣を説く。

ヨタヘロ期の定義や意義、男女の違いなどを通じて、健康寿命を延ばすためのポイントを探る。

樋口さん自身の転倒エピソードを通じて、骨折防止の重要性と注意すべき点を説明。

樋口恵子 段差を飛び越えられる「はず」。体が覚えている「はず」…<体が変わっても頭と気持ちは若いときのまま>のギャップが悲劇を生む

総務省が公表した資料「統計からみた我が国の高齢者」によると、総人口に占める65歳以上の割合が過去最高の29.1%と推計されるそう。「超高齢化社会」の真っ只中、今年92歳を迎えた評論家・樋口恵子さんは「長生きするなら、幸せの時間も2倍にしましょう!」と明るく語ります。「人生100年時代」を楽しく生き抜くための知恵が詰まった書籍『人生100年時代を豊かに生きる ヨタヘロしても七転び八起き』から、樋口さんの体験談をお届けします。

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◆「決して転びません」と心に誓う

私の勝手な決め方では、ヨタヘロ期とは平均寿命から健康寿命を引いた年月のことをいいます。健康未満・要介護以前といったらいいでしょうか。

ヘルパーさんに来てもらう必要はないけれど、日常生活はちょっとたいへん。そんな期間のことで、計算すると、男性が約8年間、女性が約12年間になります。

せっかく女性のほうが長生きなのに、なぜ男性より4年も長くヨタヘロしなきゃいけないのか? なんだか釈然としませんが、介護保険の利用理由を見ると納得です。

男性の場合、要介護になる人の過半数が、脳出血や心臓病などの後遺症。女性は、転倒、骨折、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)です。

つまり、男性のほうが死につながる病にかかりやすく、ヨタヘロする前にあの世へいってしまわれる方が多いということです。

一方、女性は、骨折くらいじゃ死なないものの、寝たきりや、不自由な時期が長引いてしまいます。健康寿命の期間を少しでも延ばすためには、私たち女性は、まずは骨折しないように気をつけなきゃなりません。

◆実は私、よく転びます

骨折防止のための必要かつ最大の策は、とにかく転ばないことです。

と、えらそうに言っておりますが、実は私、よく転びます。

記憶に残る転倒事件はいろいろあります。

還暦の年に、知人宅の外階段でそれは起きました。暗い階段を楽しくおしゃべりしながらタッタッタッと下りてきたのはいいのですが、途中で1段踏み外してドテーン。石段に膝をしたたかに打ち付けました。幸い皮下脂肪がたっぷりついていたためか、骨折はまぬがれました。

その少し前には、雨で濡れたタイルの床ですべって転んだこともありました。ヒールのついた靴を履き威勢よく歩いていたので、転び方も宙に舞うほどに派手でした。