【おひとり様老後の3大不安を解消!・医療費】公的制度を最大限に活用。細かい支出の節税対策も。医療保険の「卒業」も選択肢の一つ

AI要約

高齢者の医療費に関する情報を紹介。保険制度や支援制度の活用方法など、節税対策や注意点も示唆。

医療費の負担軽減策として、国民健康保険や高額療養費制度などの制度を活用することが重要。

高齢者がかかる医療費は生活習慣病や長期治療による負担が増加するため、予防や計画的な備えが求められる。

【おひとり様老後の3大不安を解消!・医療費】公的制度を最大限に活用。細かい支出の節税対策も。医療保険の「卒業」も選択肢の一つ

年齢を重ねてからのひとり暮らしは、経済面や健康面などの不安がつきものです。今から何に備えておくべきでしょうか。医療にかかるお金とおひとり様の介護事情に詳しい専門家2人が、それぞれレクチャーします(構成=山田真理 イラスト=高橋ポルチーナ)

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◆高額医療は限度額が決まっている

老後のお金の心配は数々あるけれど、なかでも予測できないのが医療費でしょう。そこでここでは、医療費について解説したいと思います。

年を重ねるほど医療費が必要になると思われる方も多いでしょう。実際、2021年の厚生労働省のデータによると、0歳から64歳までにかかる総医療費が1211万円(43%)なのに対して、65歳以上は1604万円(57%)と、半分以上が高齢になってからかかります。

この数字を見て、「今からそんなに老後資金を貯められない」と焦らなくても大丈夫。第一に、国民健康保険に加入していれば、この金額すべてを負担する必要はありません。病院の窓口で支払う自己負担額は、原則69歳以下は3割、70~74歳は2割、75歳以上は1割です。

さらに保険適用内の治療であれば、「高額療養費制度(A)」によって、1ヵ月の自己負担額の上限が年齢と年収ごとに設けられています。

たとえば、69歳以下で年収約370万円以下の人であれば、世帯ごとの自己負担上限額は5万7600円。70歳以上で年収約156万~370万円の人であれば、外来は1万8000円、入院+外来は5万7600円。病院の窓口で自己負担分の医療費を支払いますが、後から超過分の還付が受けられるのです。

また、介護保険サービスを受けている場合、医療保険と介護保険の自己負担が高額になったときに還付される「高額医療・高額介護合算療養費制度(C)」が利用できるかもしれません。

ほかにも、日常生活に不自由がある場合に申請できる「障害者手帳(D)」、パーキンソン病など難病にかかったときに利用できる「難病医療費助成制度(F)」など、さまざまな公的制度・福祉サービスがあります。下の一覧表を参考にして、最大限に活用してください。

◆細かい支出には節税対策を

シニアの医療費というと、いわゆる3大疾病「がん」「心疾患」「脳血管疾患」にかかる費用を心配する人が多いかもしれません。しかし、前述した高額療養費制度により自己負担の限度額が決まっているため、出費が大きくかさむことはないと考えてよいでしょう。

注意したいのは、こうした制度が適用されるのは「(1) 公的医療保険が適用される診療(検査・診療・治療・薬剤・入院費)」のみだということ。差額ベッド代や先進医療の費用、入院時の食事代の一部、診断書作成料、インプラントやレーシックといった自由診療など「(2) 病院に支払うそのほかの費用」は、全額自己負担です。

また、通院のための交通費、宿泊費、入院時に使う日用品費など「(3) 病院以外に支払う費用」も別途かかってきます。年齢を重ねると、(2)(3) の出費が増えていきがちです。

もうひとつ、特に高齢者の医療費で注意したいのは、高血圧などの生活習慣病、骨粗しょう症、関節リウマチ、睡眠障害、白内障・緑内障など、比較的長期にわたって通院しなければならない病気が増えてくること。1回ごとの医療費は高額でなくても、いくつか病気が重なったり治療が数年にわたったりすれば、費用がかさんできます。