ロータス待望の新しい4ドア・モデル、エメヤはポルシェ・タイカン対抗のスポーツEV 価格もガチンコ勝負

AI要約

2024年8月22日、ロータス・カーズは3台目の電気自動車である4ドアGT「エメヤ」のジャパン・プレミアを行った。

ロータスはスポーツカーの成功を受けて4ドアモデルに進出し、ビジョン80戦略の一環として世界的なエレクトリック・ブランドに転換している。

エメヤは4WDで2基の電気モーターを搭載し、最高出力918ps、最大トルク985Nmを誇る高性能モデルで、2024年末から日本でも販売される予定。

ロータス待望の新しい4ドア・モデル、エメヤはポルシェ・タイカン対抗のスポーツEV 価格もガチンコ勝負

2024年8月22日、ロータス・カーズは彼らにとって3台目の電気自動車=バッテリーEV(BEV)となる4ドアGT、「EMEYA」(エメヤ)のジャパン・プレミアを行った。

◆スポーツカーの次に目指すもの

成功したスポーツカー・メーカーが次のステップへと踏み出そうとする時、真っ先にその候補に上がるのが、4ドア、4シーター・モデルの設定だ。ブリティッシュ・ライトウェイト・スポーツカーの雄であるロータスも、創始者コーリン・チャップマン氏が存命の時代から、4シーターGTの開発、生産に積極的に乗り出してきた。

◆ロータス・オメガに次いで2作目

しかしながら、自身の生産能力、そしてパワートレイン供給先との関係もあり、4ドア・モデルに関しては1991年の「ロータス・オメガ」/「ロータス・カールトン」以外、彼らの名を冠したプロダクト(いすゞの「ハンドリングbyロータス」シリーズは別として)が世に出ることはなかった。

そういう意味でもSUVの「ロータス・エレトレ」に続き、4ドアのエメヤが生まれたのは、「Vison80」という戦略を掲げ、2028年までに世界的なオール・エレクトリック・ラグジュアリー・テクノロジー・ブランドに転換しようとしている、今のロータスだからできたことと言えるだろう。

一方で、ロータスが大きく重いBEVであることに違和感を覚えるロータス・ファナティックも多いかもしれない。しかし、2023年期の販売台数は6970台で過去最高を記録、そのうちの63%をエレトレが占めるなど、中東、そして日本を含むアジアにも充実したディーラー・ネットワークが広がっている。ロータス始まって以来の大変革は実を結びつつあるのだ。

◆Sクラス・サイズの大型セダン

そんななか発表されたエメヤは、アルミニウムを主体としたジーリーのEPA(エレクトリック・プレミアム・アーキテクチャー)プラットフォームの前後に1基ずつ、計2基の電気モーターを配置した4WDの4ドア・ハッチバック・サルーンである。

今回展示されていたのはフラッグシップの「エメヤR」で、全長×全幅×全高=5139×2005×1467mmというボディ・サイズは4ドア・サルーンとしても大柄な部類に入る。一方で3069mmという長いホイールベースとスポーツカーのように着座位置の低いシートも相まったクーペ・ライクなシルエットながら、前席と後席とも余裕のあるスペースを確保しているのが特徴で、ハッチバック式のラゲッジルームは509リッター(5シーター・モデル)の容量を誇る。

◆トップ・グレードは918ps、985Nm

また透明、不透明の切り替え可能なガラスルーフを持つインテリアは、サステナブルな素材がふんだんに使われているうえ、15.1インチのセンター・ディスプレイを備えたインフォテイメント・システム、55インチのヘッドアップ・ディスプレイ、数多くのカメラやセンサー、レーダーを駆使したドライビング・アシストやセーフティー・デバイスが充実しているのも大きな特徴と言える。

ラインナップは、1段の固定ギアを備え、システム総合で最高出力612ps(450kW)、最大トルク710Nmを発生するスタンダードの「エメヤ」、21インチ・ホイールなど装備を充実した「エメヤS」、そして2段自動変速ギアと同じくシステム総合で最高出力918ps (675kW)、最大トルク985Nmを発生する専用モーターを備えたハイパフォーマンス版の「エメヤR」の3種類を用意。いずれもバッテリー容量は102kWhだ。

◆0-100km/h加速は2.78秒

気になるパフォーマンスに関しては、エメヤ、エメヤSが最高速度250km/h、0-100km/h加速4.15秒、最大航続距離500~610km(WLTP)を、エメヤRが最高速度256km/h、0-100km/h加速2.78秒、最大航続距離435~485km(WLTP)。なお、日本国内にはまだ用意がないが、400kW(600A対応)のDC(直流)急速充電器を用いれば、14分でバッテリーを10%から80%へ充電できる能力を有しているという。

シャシーには、道路状況に応じて減衰力を最適化する電子制御のツイン・チャンバー・エアサスペンションを備えるほか、大型のアクティブ・リア・ディフューザーとアクティブ・デュアルレイヤー・リア・スポイラーを装備し、215kgものダウンフォースを発生するなどロータスらしい最先端のエアロダイナミクスも装備。それに加えてエメヤRには、アクティブ・アンチロールバー、後輪操舵、カーボンセラミック・ブレーキ、専用にセットアップされたエアサスペンションが奢られる。

◆ロータスらしい1台

今回の発表会の会場で「ロータスの集大成であるエメヤは、かつて見たことのないロータスとなりました」というロータス・グループのベン・ペイン副社長の言葉が紹介されたが、思えばレーシングカーでもロードカーでも、ロータスはパワートレインの銘柄に固執することなく、その時に手に入る最適なものを選び、そのパフォーマンスをフルに活かす1台を作り上げ、イノベーションを巻き起こす「シャシー屋」であることを信条としてきた。そういう視点で見れば、BEVというパワートレインに対してフルサイズの4ドアGTという答えを出したエメヤもまた、ロータスらしい1台と言えるのかもしれない。

すでに生産が始まっているエメヤは、2024年末から日本国内でもデリバリーを予定。ちなみに販売価格はエメヤが1634万6000円、エメヤSが1793万円、エメヤRが2268万2000円と、エレトレよりも低い設定となっている。

文=藤原よしお

(ENGINE WEBオリジナル)