ファミリーの夢の結実。繊細で美しきニュージーランドワイン「クラギ―・レンジ」

AI要約

ニュージーランドの「クラギ―・レンジ」ワイナリーは設立からまだ25年と若いが、世界的に高評価を受けている。

ニュージーランドワインは近年急速に進化し、特にピノ・ノワールの品質が際立っている。

「クラギ―・レンジ ピノ・ノワール テ・ムナ・ロード ヴィンヤード マーティンボロ 2023」は冷涼なテロワールの個性が感じられる優れたワインである。

ファミリーの夢の結実。繊細で美しきニュージーランドワイン「クラギ―・レンジ」

設立からまだ25年という若いワイナリーながら、世界的高評価を得ているのがニュージーランドの「クラギ―・レンジ 」だ。近年、進化がめざましいニュージーランドワインの中でも頭角を現している。この8月に3代目のダヴィッド・ピーボディ Jr. 氏が来日、心に染み入るようなピュアな味わいの秘密を教えてくれた。

“マールボロのソーヴィニヨン・ブラン”が80年代に注目されたのを機に、世界的に高い評価を受けるプレミアムワインが次々と誕生しているワイン産地がニュージーランドだ。特にここ10年ほどはピノ・ノワールの進化がめざましく、“繊細で洗練されたマーティンボロ(北島)”、“芳醇ながらも優雅なセントラル・オタゴ(南島)”など、土地の個性を語るピノ・ノワールが次々と登場している。

「クラギ―・レンジ ピノ・ノワール テ・ムナ・ロード ヴィンヤード マーティンボロ 2023」もそのひとつで、冷涼なテロワールの個性が感じられる魅力的な一本だ。サクランボやチェリーなど赤い果実の香りと心地よいスパイス香、豊かな果実味とピュアな酸味が心に残る。印象的なのがシルキーな質感で、ナチュラルなその味わいは、ブドウが育った壮大で美しい畑の風景を思い起こさせる。

「クラギ―・レンジ ピノ・ノワール テ・ムナ・ロード ヴィンヤード マーティンボロ 2023」。ピノ・ノワール100%。750ml ¥7,040。ワイルドベリーやキノコ、ハーブの香り。果実味豊かで繊細な味。酸味も美しい。フレンチオークで10カ月熟成。肉料理のほか、醬油を使った根菜類や魚の煮つけとも合う

「クラギ―・レンジ」は、ニュージーランド北島ホークス・ベイに1998年に設立されたワイナリーで、『The world’s most admired wine brands(世界で最も称賛されるワインブランド)』では2020年から24年まで5年連続でトップ50に入り、権威あるワイン専門誌『ワイン・アドヴォケイト』では、ワイナリーのプレステージラインである「クラギー・レンジ・ル・ソル・ギムブレット・グレーヴェルズ・ヴィンヤード」(シラー100%)が常に高得点を獲得するなど、常に高評価を受ける生産者として知られる。

 オーナーファミリーの3代目で、現在はブランドアンバサダーとして活躍するダヴィッド・ピーボディ Jr. 氏は言う。

「私たちファミリーは、アメリカ出身のオーストラリア移民で、国ではいくつかのビジネスを成功させていました。家族が集まる食卓にはいつもワインがあり、『いつか世界で認められるワインを造ってみたいね』と話していました。ワインを造ることは、家族の夢でもあったのです。その“夢の場所”を探すために、私の祖父母はフランスやナパなど世界のワイン産地を回り、見つけたのがニュージーランド北島のホークス・ベイとワイララパのマーティンボロでした。ホークス・ベイは温暖で肥沃な土地、マーティンボロは冷涼な気候で、ここでなら、良質のブドウが育つと思いました。私の両親はその可能性を見出し、ワイン造りをスタートさせたのです」。

【写真】ダヴィッド・ピーボディ Jr. 氏。経営、栽培、醸造と八面六臂の活躍を見せる。今回で来日は12回目。「日本料理は大好きです。和牛とシラー、天ぷらとシャルドネなど、どれもよく合っていました。日本には多様な食文化があるので、ペアリングも多彩に楽しめますね」