スイス高級時計の名門「ブレゲ」。7代目が語る「革新的発明と精緻な記録の奇跡」とは

AI要約

スイス高級時計ブランドの「ブレゲ」は、創業者がトゥールビヨンなど多くの時計の革新的な発明を行った歴史あるメゾンである。

トゥールビヨンは重力誤差を補正する機構であり、アブラアン-ルイ・ブレゲが1801年に特許を取得し、時計界に革命をもたらした。

ブレゲの創業者が行った技術革新は、時計の内部だけでなくデザインにも影響を与え、時計の洗練さを追求した。

スイス高級時計の名門「ブレゲ」。7代目が語る「革新的発明と精緻な記録の奇跡」とは

スイス高級時計界の“雲上”ブランドとして名をはせる名門「ブレゲ」。日本旗艦店のリニューアルオープンに合わせて来日した創業者直系のブレゲ社副社長に、メゾンの驚くべき歴史を聞いた

 巻き上げたゼンマイのほどける力を利用して動く機械式時計は、最新式のスマートウォッチにはないロマンを秘めている。時を正しく表示するために長年ブラッシュアップされ続けてきた機構の中には、数世紀前に開発されて今も使い続けられているものもあるのだ。その機構、“トゥールビヨン”を発明した伝説的な時計師がいる。彼の名はアブラアン-ルイ・ブレゲ。

「彼自身は、自分の発明が220年以上の後の世もこうして話題になっているだろうとは考えもしなかったでしょうね」と語ってくれたのは、エマニュエル・ブレゲ。1775年創業の老舗メゾンの副社長であり、創業者アブラアン-ルイから数えて7代目だ。「彼は驚くほどたくさんの発明をし、時計を急速に進化させた天才的な人物です。中でも最も重要なのは、トゥールビヨンです」

【写真】ブレゲのデザインコードがちりばめられた名品。文字盤の5時位置に見えているのがトゥールビヨンの機構。「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5377」〈機械式自動巻き、ケース径41mm、RG、アリゲーターストラップ〉¥26,532,000/ブレゲ

 トゥールビヨンとは、重力によって生じる機械の誤差を補正する機構。アブラアン-ルイ・ブレゲがトゥールビヨンの特許を取得したのは1801年、フランスでナポレオン・ボナパルトが勢力を伸ばしていた時代だが、見た目も美しく、今なお複雑機構の代表格として羨望の眼差しを集め続けている。

「それからムーブメントを衝撃から守る“パラシュート”と呼ばれる機構や、指でふれることで時刻を読み取る“モントレ・ア・タクト”、懐中時計と置時計を同調させる“パンデュール・サンパティーク”……、本当に数多くの発明を彼は残しました。でもそれだけではないのです。こうした時計内部の革新は、外部のデザインにも影響を及ぼしますよね。ですからアブラアン-ルイ・ブレゲの技術的な発明は、時計のデザインを洗練させることにも大いに貢献したといえるのです」