耳の後ろや首から頭にかけてピキッと刺すように痛む〈後頭神経痛〉とは|医師が解説

AI要約

後頭神経痛は頭の神経に痛みを与える病気であり、通常の頭痛とは異なる症状を引き起こす。

原因は姿勢の悪さや長時間のスマホ・パソコン使用による肩・首の凝り固まりであり、主に20歳以上の人に多く見られる。

治療法としてはビタミン剤や鎮痛剤の投与が一般的であり、場合によっては抗てんかん薬やブロック治療が行われる。

耳の後ろや首から頭にかけてピキッと刺すように痛む〈後頭神経痛〉とは|医師が解説

頭の神経に刺すような痛みが発生する後頭神経痛。原因や治療法について、医師が解説します。

■後頭神経痛とは

後頭神経痛は頭の神経にズキンズキンという独特な痛みが現れる病気であり、片頭痛のように頭に痛みを与えるのではなく、頭の神経に痛みが発生します。

後頭神経痛は、片方の首から頭にかけて、耳の後ろあたりが痛むことが多く、片頭痛などの頭痛とは違った痛みを感じます。

後頭神経痛では、髪を触ったとき・髪を梳かしたときにも痛みを与える場合があり、痛みがないときでも異変を感じることがあります。 

後頭神経痛は、普段の姿勢の悪さによって、筋肉が固まってしまうことが原因で発症します。

特にスマホ・パソコンの使用によって肩・首が凝り固まることで発症しやすく、スマホを下向きでずっと見ていたり、姿勢の悪い状態でパソコン作業をしていたりする場合は筋肉が凝り固まってしまうため、神経に痛みを与えます。

常に、猫背であったり前傾姿勢を保ち続けていたりするのも、後頭神経痛を発症する原因のひとつです。

それ以外にも、天候・ストレスの影響によって後頭神経痛が起こることもあり、寒さによって筋肉が固まってしまい、首・肩のコリが生じて後頭神経痛を発症する場合もあります。

後頭神経痛は、長時間スマホやパソコンを姿勢の悪い状態で使用することによって発症しやすくなります。

主に、姿勢が悪い状態でのスマホやパソコンの使用が続くと肩・首が凝り固まるため、デスクワークやスマホの使用頻度が多い20歳以上の人がなりやすいといえます。

また、高齢者もスマホやパソコンを使用する機会が増え、誰でもなりやすい病気ですので、自分は大丈夫だと思わずに、姿勢に気を付けながらスマホやパソコンを使いましょう。

■後頭神経痛の治療について

後頭神経痛は比較的短い期間で自然に治ることが多いですが、治療を施す場合は、ビタミン剤や鎮痛剤を投与して治療します。

万が一、ビタミン剤・鎮痛剤を投与しても痛みが治まらない場合は、プレガバリン・ガバペンチンなどの抗てんかん薬を投与します。

薬の投与以外の治療法はブロック治療であり、麻酔薬や鎮痛薬を部分的に注射し治療します。 

後頭神経痛は、1週間程度で痛みが治まる病気といわれており自然に治りますが、まれに薬がなかなか効かない場合もあるため、そのようなときは治療が1週間以上かかる可能性もあります。

症状の度合いによっては治療に数カ月程度かかる場合もあります。 

■まとめ

これまで、後頭神経痛とはどのような病気か、後頭神経痛の治療などを中心に解説してきました。

後頭神経痛は深刻な病気ではありませんが、人によって痛さが違うため痛くて辛い思いをする場合もあります。

早めに痛みや症状を抑えられるように、異変を感じたら専門医師に相談することが重要なポイントです。

あまりにも痛みがひどく続く場合は、頭痛専門外来や脳外科を受診するようにしましょう。

後頭神経痛の症状はあまり長引かない場合が多いですが、なかなか痛みが治まらないというケースもあります。

後頭神経痛だと思い込んでいても実は別の病気が隠れていることもあるため、念のためにかかりつけの病院・頭痛の専門外来・脳外科を受診しましょう。 

文/甲斐沼孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。