「歯は半分抜け落ちた」「下半身は深刻な裂傷」で血まみれに…継母と夫から50年以上、乱暴されてきた58歳女性が明かす「壮絶すぎる半生」

AI要約

今年の4月1日に改正されたDV規制法について。配偶者暴力防止法の適用拡大や保護命令の種類拡大などがポイント。

DV被害者の一例として、長年夫の暴力に苦しんだ知念香理奈さんの実話。幼少期から続く虐待の影響で結婚生活を我慢し続けた悲しい過去。

物心つく前から虐待を受けた経験が、香理奈さんの人生に大きな影響を与えた可能性。過去のトラウマから連鎖してDV被害に遭う悲劇。

「歯は半分抜け落ちた」「下半身は深刻な裂傷」で血まみれに…継母と夫から50年以上、乱暴されてきた58歳女性が明かす「壮絶すぎる半生」

今年の4月1日に「配偶者暴力防止法」…いわゆるDV規制法の一部が改正された。「配偶者」とあるが、法律婚の相手方のみが対象というわけではない。事実婚の相手や、生活の本拠を共にする交際相手なども該当し、被害者の性別も問わず、男性被害者も申し立てをすることができる。

今回の改正のポイントは4つある。

・申し立てできる被害者の拡大(具体的な暴力を受けたり、「殺すぞ」と脅されなくても、自由を束縛したり、名誉や財産を傷つけてくる相手にも適用できる)

・保護命令の種類の拡大(SNS等の送信や、被害者の子への電話の禁止、GPSを使って無断で位置情報を所得する行為などの禁止)

このほか、これまで6ヵ月だった接近禁止命令の有効期間が1年となり、違反者に対する罰則も厳しくなっている。

DVの悩みをひとりで抱えている方は、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに繋がる「DV相談ナビ」(#8008)に電話を掛けることをおすすめる(今すぐ警察に駆けつけて貰いたいときは110番通報です)。心身への暴力で束縛しようとする相手に「私さえ我慢すれば…」などと考える必要は一切ない。

DV被害者、知念香理奈さん(仮名・58歳)は長年にわたる夫の暴力を訴えることができず、ひとりで抱え続けた結果、還暦前にもかかわらず、70代…いや80代にすら思えるほど体がボロボロになっていた。DV規制法は2001年に施行されたが、それ以前から被害を受けていた被害者である。

「満身創痍ですからね。80代と言われても仕方がないです。自分の歯は半分くらいしか残ってないし、網膜剥離で目が片方見えません。全身6ヵ所を11回骨折していて、そのせいで片足が不自由になり、杖がないと歩けませんから」(香理奈さん。以下同)

これらはすべて夫のDVによるものだった。

「夫の場合は性加害もひどかった。私を人間扱いしていないかのような、度重なる性暴力のせいで私の下半身は深刻な裂傷を負い、自力で排便もできません」

人としての尊厳までも奪った夫のDV。その地獄のような結婚生活は昨年、夫が肝細胞癌で亡くなるまで続いていたそうだ。なぜそんな男と結婚し、離婚もできなかったのか。筆者は彼女の生い立ちが影響しているように思えてならない――。

物心つく前に実の母親を亡くしたという香理奈さんは、6歳の時に父親が再婚。継母に育てられたが、虐待された記憶しか残っていない。

「父親がまともに働かない人だったので、母は常にイライラしていて私に当たりました。殴る蹴るは当たり前で、お風呂に沈められたこともあれば、庭木にくくりつけられたこともあります。

台風が来ているというのに外に出されて、物干し台と一緒に数メートル飛ばされたこともありました。『アンタなんか死ねばいいのに』と毎日のように言われていましたよ。妻に頭があがらない父は見て見ぬフリでした。我ながら、よく生きていたなと思います」