弁護士として夫の虐待から女性や子どもたちを守ってきた私が命を狙われ、脱出するまで

AI要約

アフガニスタンがタリバンに占拠され、カブールが陥落し、人権侵害が横行する現状が明らかになっている。

アフガニスタンの女性弁護士が脅迫を受け、命を狙われる状況で家族と共に国外へ脱出を試みた背景が語られている。

REALsの支援を受けた女性が元夫からの脅迫に直面するなか、アフガニスタンからの避難が必要となった実例が紹介されている。

弁護士として夫の虐待から女性や子どもたちを守ってきた私が命を狙われ、脱出するまで

「2021年8月15日、3年前の日本の終戦記念日に、アフガニスタンの首都カプールにタリバンが侵攻し、一夜にしてアフガニスタン政府が崩壊しました。処罰リストのようなものが翌日から作られ、多くの人が命を狙われています。

アフガニスタンの国内で、女性たちがまっとうに当たり前に教育を受けたり就職できない現状があります」

このように語ったのは、平和の担い手を育成する「REALs」の理事長である瀬谷ルミ子さん。アフガニスタンがタリバンに占拠され、カブールが陥落してから命を狙われ、人権を侵害されている人々に救いの手を差し伸べてきた。

8月4日には日本ペンクラブの「獄中作家・人権委員会」主催、「REALs」共催により「アフガニスタン 脅かされる命と表現」が開催された。

共催イベントでは小説家で獄中作家・人権委員長の中島京子さんが司会を務め、翻訳家・ぶんげい評論家の鴻巣友季子さん、漫画家・作家の小林エリカさん、REALs理事長の瀬谷ルミ子さんが登壇し、アフガニスタンで抑圧を受ける人々の現状が伝えられた。

そこで紹介されたのが、実際に命を狙われ、故郷のアフガニスタンを逃れた女性たちの生の声だ。詩を書いたから、教育を受けたから、弁護士という仕事をしたから――そういう理由で命を狙われたり、教育や就労の権利を奪われる現実が、2024年のいま地球上で起きているのだ。

瀬谷ルミ子さんが語った、アフガニスタンで抑圧を受ける女性たちの現状に続き、ひとりの弁護士の女性の生の声をそのままお伝えする。

女性弁護士マリアムさん(身の安全のため仮名)からのメッセージ

私は夫と娘を持つ40代の女性で、アフガニスタンで人権、特に女性と子どもの権利を擁護する弁護士として働いていました。2021年8月15日にタリバンがアフガニスタンを掌握した際、私と家族は身を隠し、タリバンとその脅迫から逃れるため、国外への脱出を試みました。

弁護士として、多くの女性や子どもたちを夫の虐待から保護し救うために働いていましたが、タリバン政権が発足し刑務所にいた囚人たちを釈放すると、彼らは復讐として私の命を狙うようになりました。その脅迫の主な原因は、かつて私が彼らを刑務所に収監するよう言いわたしたことにあります。彼らは家庭内暴力や虐待などで女性や子どもの権利を侵害した人たちでした。

私がかつて弁護士として支援した依頼人の一人である女性ファティマは、REALsの支援を受け、アフガニスタンからドイツへ避難する際、自分自身と幼い子どもを離婚した元夫から守りぬくことができましたが、その元夫が、彼女だけでなくその弁護士である私に復讐しようとしているという警告を受けました。これまで担当した多くの事件のこともありましたし不安でした。そのほかにも私は命に関わる深刻な脅迫を多数受けました。それが、私がアフガニスタンから脱出しようとした理由です。幸い私はREALsと知り合い、2022年2月に夫と娘と3人でパキスタンへ逃れることができました。