「女性は小学校を卒業したら学んではならない」2024年の地球でいま起きていること

AI要約

アフガニスタンで起きている現状を説明し、タリバン政権の影響により人権侵害が続いている状況を示す。

REALsがアフガニスタンからの国外退避支援を行い、女性や他の職業の人々が拘束や命を狙われる危険に晒されている実態を明らかにする。

アフガニスタンの危機的な状況に日本も関わり、人道支援や国外退避の課題に直面している実態を伝える。

「女性は小学校を卒業したら学んではならない」2024年の地球でいま起きていること

8月11日に閉会式を迎えたパリ五輪。日本代表の湯浅亜実さん(ダンサー名=AMI)が初代金メダルに輝いた「ブレイキン女子」で、「失格」となった選手がいる。それが難民選手団でアフガニンスタン出身のダンサー名「タラシュ」ことマニジャ・タラシュさんだ。

タラシュさんはステージ上で背中から「FREE AFGHAN WOMEN(アフガニスタンの女性を解放せよ)」と書かれた青いケープを大きく広げた。五輪憲章で大会期間中に選手らが政治的なメッセージを発信したりジェスチャーを行うことは禁じられているため、試合中に政治的スローガンを掲げたとして失格となったのだ。しかしその現場では場内からも大歓声を受けていた。

では「アフガニスタンの女性」に起きている現状はどのようなものなのだろうか。

2021年8月15日、アフガニスタンがタリバンに占拠され、カブールが陥落してから命を狙われ、人権を侵害されている人々に救いの手を差し伸べてきたのが、瀬谷ルミ子さんが理事長をつとめる「REALs(リアルズ)」だ。REALsは紛争地支援や、現地での「平和の担い手」の育成などにも尽力をしてきた団体で、この3年間で313人ものアフガニスタン人の「国外退避」を実現してきた。そんなREALsが8月4日、日本ペンクラブの「獄中作家・人権委員会」主催の「アフガニスタン 脅かされる命と表現」を共催。ここで瀬谷さんが語った、アフガニスタンで抑圧を受ける女性たちの現状をお伝えする。

2021年8月15日、3年前の日本の終戦記念日に、アフガニスタンの首都カプールにタリバンが侵攻し、一夜にしてアフガニスタン政府が崩壊しました。大統領が国の外に逃げて、タリバン政権がはじまりました。もともと20年前、タリバンが支配していた時に人権侵害や恐怖政治をしていたことを聞いていた人たちが、逃がしてほしいと空港に殺到しました。そこにイスラム国がテロを起こし、別のテロが来て多くの方が命を落としました。

“自分たちが政権を担ったからといってだれかを抑圧したり拘束したりはない”と表向きには宣言したのですが、処罰リストのようなものが翌日から作られ、かつてタリバンを法的に罰した弁護士や裁判官なども命を狙われたり殺害されたり、強制捜査を受けたりという事態が続きました。

ジャーナリスト、弁護士、医師、女性アスリート、詩人、音楽家といった職業の人が、拘束や殺害の対象になってしまったのです。その多くは女性です。

私は、REALsでかつてスタッフとして働いていた現地のスタッフの人から助けを求める要請を受けました。アフガニスタンで外交官として働いていたこともあったので、その時の部下からも連絡を受けました。いずれも外国の組織に協力していたことが命を追われる理由でした。

各国が自国民や自国への協力者であるアフガン人を退避させるためにチャーター機を飛ばしました。私も日本政府に問い合わせたのですが、日本政府の方針としてはその時点で大使館やJICAで働いていた人は家族をふくめて退避させるが、退避機の定員に限りがあるため、それ以外の協力者たちについては家族を残して本人だけ退避するなら乗せられると言われました。これはかなり衝撃的でした。

タリバン政権になれば女性も子どもその権利は認められない。だから、最悪自分は命を落としても妻と子供は退避させたいという人がほとんどでした。そんな中、家族を置いていけという選択肢しかないことを伝えなければならなかった。その条件をのんだ人はほとんどいませんでした。

日本のあるメディアに勤務していたアフガン人スタッフは、日本の退避をあきらめていたところ、日本企業の前に働いていたオランダのメディアにより家族全員退避させてもらっていました。

政府に働きかけをしたとしても、その実現のまえに救いたい人たちが殺されるかもしれない。間に合わないなら、自分の手で一人でもいいから救うことはできないか、そう考えました。