ソフトトップを開けていても閉めていてもカッコいい メルセデス・ベンツCLEカブリオレに試乗

AI要約

メルセデス・ベンツのCLEクラスは、Cクラス・クーペとEクラス・クーペの後継車として登場し、オープン・モデルも販売されている。

CLEカブリオレはメルセデス唯一のオープントップ・モデルで、日本仕様は2.0リッター4気筒ターボエンジンを搭載している。

車重は重いが48Vマイルド・ハイブリッド・システムのアシストによって軽快であり、快適性にも配慮されている。

ソフトトップを開けていても閉めていてもカッコいい メルセデス・ベンツCLEカブリオレに試乗

メルセデス・ベンツのEクラス・クーペとCクラス・クーペの後継車として登場したCLEクラス。先に導入されたクーペに続き、カブリオレの販売も開始された。4シーターのキャビンに開閉式のソフトトップを備えたオープン・モデルにモータージャーナリストの高平高輝氏が試乗した。

◆メルセデス・ベンツ唯一のオープン

ええっ、いつの間にそんなことになってしまったのか? と驚いてしまった。CLEクーペに続いてこの6月に導入されたCLEカブリオレは、メルセデス・ベンツ・ブランドとしては現在唯一のオープントップ・モデルであるという。

◆4気筒のガソリンのみ

まあ確かに世界的なSUV人気に加えて電動化が進む世の中では(ついでにSLはメルセデスAMGブランドに移管された)、クーペやカブリオレの肩身は狭いはずだが、それにしてもあんなに太陽大好きで、ちょっと前まではCクラスやEクラスだけでなく、Sクラスにも豪勢極まりないカブリオレを揃えていたメルセデスなのに、と驚くばかりだ。

Cクラス・クーペとEクラス・クーペを統合して「CLEクラス」としたクーペ・モデルが先に登場しているが、CLEカブリオレ・スポーツはそのカブリオレ・バージョンである。本国ではディーゼルも6気筒ガソリン・エンジンも用意されており、近い将来にはプラグイン・ハイブリッドの追加も予定されているが、今のところ日本仕様は2.0リッター・ガソリン4気筒ターボ搭載の「CLE200スポーツ」のみとなる。

◆ボディ・サイズはCクラスに近い

カブリオレの肝は斜め後ろの姿、それも幌を開けても閉じてもカッコいいことだが、その点このCLEカブリオレは申し分ない。ボディ全体に対してキャビン部分が薄くコンパクトで、いかにも伊達でエレガントなプロポーションである。CとEを統合したと言われているが、CLEカブリオレの全長×全幅×全高は4850×1860×1425mm、ホイールベースは2865mm(Cセダンと同一)で全長が10cmほど長いほかはCクラスに近い。

エンジンもCクラス同様、48V駆動のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)付きの2.0リッター4気筒ターボで、204ps/5800rpmと320Nm/1600-4000rpmを生み出す。トランスミッションは9段ATの後輪駆動である。

◆ISGの効果は大きい

電動ソフトトップを備えるために車重はクーペより100kgほど重い1900kgもあるが、48Vマイルド・ハイブリッド・システムのアシストのおかげで実用域ではなかなか軽快であり、エンジンそのものもトップエンドまで健康的にスムーズに吹け上がる。エンジン停止/再始動の際にショックを感じさせないこともISG付きの美点だ。

快適性についても抜かりはない。ウィンド・シールド上端から立ち上がるディフレクターと、リア・シート背後から飛び出すディフレクターがオープン時の風の巻き込みを抑え、また首のあたりに温風を吹き出すエアスカーフももちろん装備されている。

◆ドイツ流の高い実用性

ただし、乗り心地については優雅に走りたいカブリオレとしてはもう一歩というのが正直な気持ち。このクルマにはAMGホイールに20インチ・タイヤ(19インチが標準装着)と、ダイナミック・ボディ・コントロールと称する可変ダンパー付きサスペンションからなるオプションのドライバーズ・パッケージを装着していたが(標準でもスポーツ・サスペンション付き)、そのせいか、大きめの不整を越えた際にはタイヤの上下動が抑えきれていないようで、場合によっては揺れ残りも感じられた。

お洒落優先のクルマであっても実用性をおろそかにしないのがドイツ流で、後席も小柄な人ならば大人でもエマージェンシー用以上の広さを持つ。できれば「スポーツ」ではなく「エレガント」な日本仕様の導入を望みたい。

文=高平高輝

(ENGINE WEBオリジナル)