GRスポーツが大人気 日本では買えないトヨタ車をインドネシア・モーターショーで探してみた

AI要約

インドネシアで開催されたモーターショーで、トヨタ車が人気を集めている。

エントリーモデルからフラッグシップまで幅広い車種が展示され、特にGRスポーツ仕様が注目を集めている。

トヨタの信頼性と愛される理由に加え、レクサスの高いステイタス性も紹介されている。

GRスポーツが大人気 日本では買えないトヨタ車をインドネシア・モーターショーで探してみた

インドネシアの国際モーターショー、「ガイキンド・インドネシア国際オートショー2024」(GIIAS2024)が、2024年7月18日~28日の期間で開催された。

◆販売シェア・ナンバーワン

インドネシアは日本車が強い市場のひとつだが、とくにトヨタ車の人気が高い。2023年には33万6777台の新型車を販売し、シェア率は33.5%でメーカー別年間販売ランキングの1位を獲得している。

◆新型アルファードも買える

そのため、モデルのラインアップは幅広く、カローラやRAV4などの実用車や、ハイラックスやハイエースといった商用車だけでなく、スポーツ・ブランド「GR」や高級車ブランド「レクサス」といったサブ・ブランドのモデルも多数導入されている。最新の「アルファード」や「ヴェルファイア」も販売が開始されている。特にアルヴェルは、街中でも多く見かけて、驚いた。今回のショーでは、最新型のプリウスとプリウスPHEV、マイナーチェンジした新型GRヤリスなどが発表された。

トヨタ人気を象徴するかのように、会場には巨大なブースが設けられ、初お披露目のプリウスやGRヤリスをはじめ、多数のトヨタ、GR、レクサスの各モデルが並べられていた。その中から、日本では販売されていないトヨタ車を紹介しよう。

◆トヨタ アギアGRスポーツ

GRはインドネシアでも積極的に展開されている。「GRスープラ」を筆頭とした専用開発の「GR」各モデルのほかに、幅広い車種で展開されるスポーティ仕様の「GRスポーツ」が存在するのは日本仕様と同様だ。GRスポーツの中でインドネシアでのエントリー・モデルとなるが、「アギアGRスポーツ」だ。

ベース車であるアギアは、トヨタとダイハツが共同開発したヤリスよりもひと回り小さいAセグメント・サイズの新興国向け戦略車で、インドネシアで生産されている。現行型は、2023年2月に登場した第2世代で、初代同様に「GRスポーツ」が設定されている。

トヨタのエントリー・モデルとなる5ドア・ハッチバックで、ボディ・サイズは全長×全幅×全高=3830×1665×1505mmという手頃さだ。パワートレインは、88ps/11.52lgmの1.2リッター直列3気筒を搭載し、5段MTとCVTを用意している。

アギアGRスポーツの驚くべきは、GRのエントリー・モデルながら、エアロ・パーツだけでなく、ステアリングとサスペンションにもGR専用チューニングが施されている。なりは小さくてもGRスピリットが色濃く反映されたモデルなのだ。その限られた性能を引き出しながら、MTを駆使して走るのも、ちょっと楽しそうだ。

◆トヨタ・ハイラックス・ランガ

ジャパン・モビリティショー2023でに日本初公開されたピックアップ・トラックの「IMV 0」は、2023年11月27日に、タイで「ハイラックス チャンプ」として販売が開始されたのは記憶に新しい。そのインドネシア仕様が「ハイラックス・ランガ」で、今回のショーを皮切りに事前予約が開始された。

基本的には、チャンプと同じモデルで、通常の荷台だけなく、架装を前提としたデッキ・レス仕様も選べる。クロカン風味の武骨なデザインは、SUVの人気が高いインドネシアでも、多くの人の目を惹きつける。インテリアも、エクステリア同様の武骨なデザインで、SUV風味が効いている。装備面では、タコメーターのない単眼式メーター・パネルやクーラーのみの空調システム、手動開閉式ドア・ウィンドウなどといった超シンプルなものだ。

ブース内では、ランガのカスタマイズのし易さをアピールすべく、荷台に大型モニターを装着してドレスアップを図った展示車に加え、キャンピングカー仕様なども展示された。ここまでシンプルな装備では日本に導入するのはちょっと厳しいが、ハイラックスが人気となったことを考えると、カスタム・ベースとしてのニーズは、それなりにありそうだ。

◆トヨタ ライズGRスポーツ

日本でもお馴染みのコンパクトSUVの「ライズ」もインドネシアで販売中だ。そのフラッグシップ・モデルが「ライズGRスポーツ」だ。現地版のライズは、自然吸気仕様の1.2リッター3気筒と1.0リッター3気筒ターボを設定。日本仕様のように4WDはなく、全モデルが前輪駆動で、CVTのほかに5段MTが選べる点も異なる。

日本にはないGRスポーツは、エアロ・パーツと内装のドレスアップを図ったもので、シャシーなどの機能面へのチューニングはなし。パワートレインは1.0リッター・ターボのCVTだけとなる。あくまでスポーティなドレスアップ・バージョンという立ち位置だ。ただ、人気は上々で、2021年にライズが導入された当初の受注では、GRスポーツが全体の80%超だったというから驚きだ。

◆トヨタ・ラッシュGRスポーツ

ラッシュといえば、日本でも販売されていたライズのご先祖的な存在の小型SUVである。2代目となる現行型は、フルモデルチェンジを機に海外専売車となっている。少しサイズアップしたものの、特徴であったFRレイアウトは受け継がれている。

ボディ・サイズの大型化によって、コンパクトなボディながら、3列7人乗りを実現しているのが大きな強みだ。エンジンは自然吸気仕様の1.5リッター直列4気筒を搭載し、5段MTか4段ATを組み合わせる。インドネシアでは、ミディアムSUVとして高い人気を誇っており、クラスでのシェアは20%を超える。

そのラッシュの中でも特に人気が高いのが、このGRスポーツだ。やはり、ドレスアップ仕様だが、その分、標準車の価格差が小さく、お買い得感がある。まだまだインドネシアでは、愛車は夢の存在なだけに、よりカッコいい仕様が受けるのだろう。このラッシュも、インドネシアで生産されるトヨタ車のひとつだ。

海外専売車とともに、日本と同じトヨタ車が数多く導入されており、幅広いニーズに応えているトヨタ。ちなみに、レクサスは、成功者の証として認知されており、一説には、メルセデス・ベンツよりもステイタス性が高いとか。その背景には、日本車が愛されていることに加え、長く愛用できる高い信頼性が、資産性の維持を支えていることもあるようだ。

文・写真=大音安弘

(ENGINE WEBオリジナル)