「読書が苦手で『つまらない』と言われてしまう」 親の悩みに元書店員がしていたアドバイスとは

AI要約

子どもたちの夏休みと読書感想文について、元書店員の増山明子さんの視点を紹介。

読書感想文について真剣に考えすぎる必要はないという増山さんの意見。

1冊の本で自身の感じ方の変化を綴る楽しみ方について。

「読書が苦手で『つまらない』と言われてしまう」 親の悩みに元書店員がしていたアドバイスとは

 子どもたちは夏休みに入り、長い休暇を楽しむとともに、多くの宿題と向き合っていることでしょう。さまざまな課題がありますが、定番のひとつが読書感想文です。書店減少の背景のひとつとして、多くの人が「本に触れる時間が減っている」と指摘した、元書店員の鬼瓦レッドさんこと増山明子さん。後編では、読書感想文への考え方のほか、本を読むのが苦手なお子さんについての相談など、子どもと読書についてお聞きしました。

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 2022年に惜しまれながら閉店した明正堂アトレ上野店のカリスマ書店員として、鬼瓦レッドの愛称で親しまれる増山さん。独自の視点で本をおすすめする姿勢が、作家や読書好きに注目される存在です。

 そんな増山さんに読書感想文について尋ねると、「みんな真面目に考えすぎている気がします(笑)」と軽やかに話します。実は増山さんには、1冊の本で3年間、読書感想文を提出した経験があるそう。

「チャールズ・ディケンズの『オリバー・ツイスト』を読んで、毎年バージョンアップしながら書いて提出していました(笑)。たぶん“読書感想文とはこうあるべき”とか、“読書感想文を書くための本は、こういう本じゃないとダメ”とか、考えすぎてしまっているんじゃないですかね。その本を読んで、どこにどう感じたかを書くのが読書感想文なので、難しく考える必要はないと思っています」

 増山さんが3年間、「オリバー・ツイスト」で読書感想文を書き続けたのも、そのときどきで感じることが変化したからでしょう。実際に“バージョンアップ”の作業も、一度にするわけではなく、日を置いてまた書き直すこともあったのだとか。

 学校や教師の考え方によって指定図書が決められている場合や、より多くの本に触れさせる目的で、毎年違う本で読書感想文を書かせるケースがあるかもしれません。

 ただ、以前、読んだ本でも時間が経って読み返すと、感じ方が変わったり、見落としていたひと言に心が動いたりします。そう考えると、増山さんのように1冊の本で自身の感じ方の変化を綴るのは、読書の楽しみ方として大きな意味がありそうです。