子どもの「くるみ」アレルギーが急増。飲食店や保育園での発症例も。思わぬ料理や調味料に使用されることもあるため、注意を【小児科医】

AI要約

くるみを含む食物アレルギーが増加していることに注意が必要

消費者庁が「くるみ」を特定原材料表示に追加し、2025年から義務化

くるみアレルギーに関連した事例を通じて注意喚起が必要

子どもの「くるみ」アレルギーが急増。飲食店や保育園での発症例も。思わぬ料理や調味料に使用されることもあるため、注意を【小児科医】

近年、ナッツ類、とくにくるみが原因食品になる食物アレルギーが増えています。くるみは単体ではなく、思わぬ料理や調味料などに使われていることも多いので、注意が必要です。

「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#43は、「くるみアレルギー」についての情報です。

保育園や学校の健診に行くと、健康調査票に「くるみ」アレルギーだと記載してあり、給食は除去対応をしている子どもを診ることが増えてきました。

令和2年の医師対象全国調査で、「くるみ」を含んだ「木の実類」のアレルギー患者数が、鶏卵、乳に次いで3番目に多くなったとわかりました。

「木の実類」とは、ナッツ類全体をさしていますが、原因食材の約半数は「くるみ」でした。

初発の原因物質として「木の実類」は、1~2歳で第2位 3~6歳で第1位、7~17歳でも第2位でした。鶏卵や乳に比べて発症時期、発覚時期が遅いのが特徴です。

この変化に合わせて 消費者庁はアレルギー物質を含む食品の特定原材料表示について、「くるみ」も従来の7品目に追加して表示義務を課すことを決めました。開始は、2025年4月1日です。(7品目とは、乳、卵、小麦、そば、落花生(ピーナツのこと)、えび、かにです)

とは言っても、特定原材料の表示義務が必要なのは、容器包装された加工食品や添加物だけで、外食(ファストフードやレストラン)や弁当、総菜などの店頭での対面販売品や、量り売り、テイクアウト商品は対象外です。

食事や、注文の際は、に「くるみを使っていませんか」と問い合わせることが大事です。

「くるみ」入りの、ドレッシング・みそ・そばつゆ・食用油(くるみオイル)などは、形態では判断できません。表示義務開始後も確認が必要です。

パンは、工場で作ったものは袋に表示がありますが、店内のベーカリーで焼いたパンには表示されていません。

私のクリニックで経験した事例などを紹介しますので、イメージしてみて注意をしてほしいと思います。

[事例1]夕食後に、ミックスナッツが好物の両親が、5歳になったので誤えんすることもないだろうと「これ、おいしいよ」とすすめて、初めて口にしたらアナフィラキシーを起こして、救急車を呼んだ。(このような例は複数経験)

[事例2]「くるみ」アレルギーと診断されている小学生が焼き肉屋で、野菜にみそをつけて食べたら苦しくなった。みその材料に「くるみ」が入っていた。

[事例3]店内のベーカリーで作られたアップルパイを購入して帰って食べ始めた。「くるみ」アレルギーの小学生が「なんだかかたい粒が入っているよ」と口から取り出したら「くるみ」だった。店に確認したら素材として使っていたと判明。

[事例4]保育園に「くるみ」を殻ごと持ってきた子がいたが、半分に割ったものも持ってきていて、実がむき出しになっていて、「くるみ」アレルギーの園児が触って、アレルギー症状が出た。園が提供する食材からは除いていたが、まさかの出来事だった。

[事例5]大人数の場も危ないです。親族の法要に出席した際、食卓にナッツ類が提供されており、3歳児が手を出して食べてアナフィラキシーを起こして救急搬送された。その子にはのちにエピペンが処方された。

このように、小学校や保育園の健康調査票に書いてあるし、そして除去しているから大丈夫というわけにはいかないくらい、くるみ入り食品がちまたにあふれています。買い物や外食時も気が抜けません。