7ORDER諸星翔希「想像を覆すようなライブ」をするために極め続ける個性

AI要約

諸星は、サックスプレイヤーとしての自己アイデンティティを見出し、アイドルグループ内で独自性を追求してきた。

メンバーとの関係性やグループの方向性において、率直に意見を述べる姿勢が、グループの成長につながっている。

独立後の新たなスタートを迎える7ORDERは、純粋な楽しみを忘れず、より高いパフォーマンスを目指す決意を固めている。

7ORDER諸星翔希「想像を覆すようなライブ」をするために極め続ける個性

6人組アーティスト・7ORDER。歩みを止めざるを得ない出来事を超えて、彼らはなぜ再び立ち上がれたのか?

8月6日発売の『Quick Japan』vol.173では、数々の選択肢の先で“自分たちらしいかたち”を模索し、新しいスタートを切った6人に密着し、その真意を紐解いた。ここでは本作掲載の諸星翔希のソロインタビューの一部をお届けする。

──いろいろな変化があった今、7ORDERの中でのご自身のキャラクターをどう捉えていますか?

諸星翔希(以下、諸星) なんだろうな……。“こういうヤツもいるよ”というのを見せるポジションですかね。

──それは昔から変わらない?

諸星 いや、7ORDERになってからそう思うようになりました。僕たちって前の事務所ではアイドルとして活動をしていたんですが、そこで作られるパブリックイメージからは、“違和感”のある存在であろうと思っていて。わかりやすくいえば、親しみやすいビジュアルだったり、パフォーマンスはしっかりとトガっていたり、みんなが思っている想像を覆すくらいの実力を持っていないといけないなって思ったんです。それに、“7ORDERってもともとアイドルだからこういう曲をやるんだろうな”と思う想像を一気に覆すようなライブをしていかないといけないと思っていて。

──そのためにはどんなことが必要だと思いますか?

諸星 まずは僕が担当しているサックスを即興でしっかりと吹けるようにならないといけないと思ったんです。これまではフレーズをちゃんと決めて吹いていたんですが、今はコードに合わせたアプローチや、その場でちゃんと即興で演奏できることで、個性が出るかなと思っていて。

──たしかに、既存のボーイズグループでここまでサックスが際立っているグループは少ないですよね。

諸星 そうですね。サックスって、音の引きがものすごく強いんですよ。それに、ボーイズグループが多数出演するフェスやイベントに行ったとしても、サックスの音ってほぼ聞かないですよね。でも、そこで7ORDERが始まったときに、サックスの音が鳴るだけで、一気に雰囲気が変わるんです。それに、サックスって口とつながっているから、ものすごく感情を乗せやすいんですよ。自分の息ですべてをコントロールするから、ほぼ声と同じなんですよね。

──たしかに、感情が表に出るのは声が多いですよね。

諸星 “叫び”が最たる例になると思うんですが、そこがサックスの一番の魅力なんです。

──最初はその異端さに、悩むことはありませんでしたか?

諸星 ありました。実はもともとはサックス自体、知らなかったんですよ。結成して最初の1年間くらいは、タンバリンをあてがわれていて。でも正直、ものすごく暇だったんです(笑)。そこで「サックスやってみたら?」と言われたけれど、見たこともないくらいで! なので、サックスがどれだけすごいものなのかもわからなかったんですよね。でも、最初に吹いた瞬間、ものすごくカッコいい音だなって思ったんです。それに、ダンスをやっていたから、R&Bやファンクなどのブラックミュージックが大好きだったんですが、よく聴くとこのサックスの音が入っていることに気づいたんですよね。そこから一気に親しみがあふれて、サックスを愛するようになりました。

──とはいえ、やってみようと思って、簡単にできるものではないですよね。

諸星 そうですね。なので、それからは毎日練習していました。何年も経って、やっと自分でアドリブを吹けるようになってからはだいぶ気持ちも変わりましたし、より楽しくなりました。それからは音楽との気持ちの向き合い方もガラッと変わったんです。自分のキャラクターも変わってきたのも、そのころですね。

──どのように変化していきましたか?

諸星 最初のころは、僕はお笑いキャラだったんです。それもグループにとってはすごく大事だけど、そのほかに何ができるだろうと考えたときに、“スキルを上げないといけない”と思ったんですよね。その意識を持ってからは、僕がパフォーマンスで引っ張らなくちゃいけないと思うようになったんです。7ORDERにはメインボーカルがふたりいますが、サックスもボーカルだと思っていて。だからこそ、フロントマンとして牽引していく存在にならなくちゃいけないと考えるようになりました。

──そう思っているからこそのロールモデルはいますか?

諸星 サックスプレイヤーでいうと、宮本大路さんですね。彼はサックスを始めたのも遅くて、毎日土手で練習している感じも、すごく似ているんです。

──土手で練習しているんですか?

諸星 はい(笑)。あとは、カラオケボックスや、実家の車の中で練習をしていました。ただ、車の中だと防音がしっかりしていないので、やりすぎるとクレームが来ちゃうんですよね(苦笑)。

──グループでのメンバーの関係性は、どう変化していきましたか?

諸星 かなり変わりました。こう見えて、かなりマジレスをするんですよ。メンバーがこれを言われたくないだろうなと思ったとしても、僕が言うんです。

──でもそれは、諸星さんのようなキャラクターの方が言うからこそ、丸く収まる感じはありますよね。

諸星 そうですね。その自分のキャラを悪用しています(笑)。トゲがあると、ただの悪口になっちゃうけど、普段から僕のようなキャラが言うと、ちゃんと響くんじゃないかと思って、メリハリはつけるようにしています。

──どんなきっかけがあって、そうなったのですか?

諸星 3年ほど前に、ある程度グループの軌道には乗ったけど、みんなが表現をすること、ライブをすることを前ほど楽しんでいないように感じたことがあったんです。独立して、自分たちがどう楽しむかではなく、どう7ORDERを見せるかということのほうが大きくなってしまったんですよね。それももちろん大事だけど、「本来パフォーマンスすることって、楽しむことだよね」って話したんです。それに、「前の事務所を抜けたのなら、もっとパワーアップしないと説得力はないし、純粋に楽しもうよ」とも、話しました。

──それって、すごく勇気がいることですよね。

諸星 はい。でも言わないと絶対にダメだと思ったんです。僕自身、“何がしたいんだっけ?”って自分を見失うこともありますが、独立したからには責任の取り方をちゃんと自分で覚えないといけないと思ったんです。もちろん、メンバーはちゃんと受け止めてくれました。