体調が悪い時にイライラしやすいのはなぜ?心理師が教える、体調不良時のイライラを抑える方法

AI要約

体調不良によるイライラの理由を解説。体温上昇によるセロトニン減少、前頭葉の機能低下、ストレス増加など。

体調が悪い時にイライラを抑えるための対処法。深呼吸や休息、捉え方の工夫、趣味の活動、ソーシャルサポートなど。

運動やタイムアウト、感情書き出しなどの対処法を実践することでイライラ感を和らげる。

体調が悪い時にイライラしやすいのはなぜ?心理師が教える、体調不良時のイライラを抑える方法

連日の猛暑で熱中症や感染症など、体調を崩している人が多いのではないでしょうか。そのような体調が悪い時に、いつもよりも周囲の言動が目につき、やたらとイライラすることがありませんか?今回は体調が悪い時にイライラしやすい理由について解説します。

■体調が悪いときにイライラしやすいのは何故?

■■神経伝達物質のバランス

体調不良により脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、イライラや不安が増加することがあります。体温が上昇すると神経伝達物質の一つであるセロトニンの分泌量が減少します。セロトニンは、気分を安定させたり、リラックスさせたりする効果があるため、それによりイライラ感が強くなる可能性があります。

■■前頭葉の機能低下

体調不良によって睡眠不足や疲労困憊している状態だと、前頭葉の働きが鈍り、怒りやイライラに対して理性的にブレーキをかける力が弱まります。

■■ストレスによる影響

体調不良は身体的なストレスを引き起こし、それに伴い心理的なストレスも増加します。また、「予定が狂ってしまった」「やりたいことができない」等と体調不良について悲観的に捉えることでイライラ感は増加します。そのような状況では些細なことにもイライラしやすくなるでしょう。

■■認知負荷の増加

身体的な不調感や疲労感によって注意力や集中力が低下すると、日常のタスクや問題解決に対する認知負荷が増えます。これがフラストレーションを引き起こし、イライラ感を増幅させます。

これらの要因が組み合わさることで、体調が悪い時には通常よりも感情が不安定になり、イライラしやすくなるのです。

■体調が悪い時にイライラを抑えるための対処法

体調が悪い時は十分に休むことが大切です。しかし、イライラしてしまいうまく休めない等、イライラに対処する必要もあるでしょう。今回は実践しやすい方法をご紹介します。

■■深呼吸や瞑想

深呼吸や瞑想をすることで自律神経のバランスが整いやすく、リラックス効果があります。数分間、ゆっくりと深呼吸を行ったり、呼吸や身体感覚に注意を向ける瞑想をしたり、取り組みやすい方法を選びましょう。

■■十分な休息

睡眠や短い昼寝をとることで、神経伝達物質のバランスが改善され、感情の安定につながります。体調が悪い時には、無理をせず十分な休息をとることが重要です。

■■考え方や捉え方を工夫する

体調不良の時は通常よりも物事をネガティブに捉えやすくなりませんか?そのような傾向に気づいたら、ネガティブな思考をポジティブやニュートラルな捉え方に置き換える練習をすることで、感情のコントロールがしやすくなります。例えば、「この人なりの善意なのかもしれない」「タイミングが悪かっただけだ」などと自分の中で捉え方を思い直すことが効果的です。

■■趣味やリラックスできる活動に時間を割く

自分が楽しめる活動やリラックスできる時間を意識的に作ることが、ストレスの軽減に役立ちます。本を読む、音楽を聴く、猫の動画を見るなど、自分に合った方法を見つけてください。

■■ソーシャルサポートを求める

友人や家族と話すことで、ストレスやイライラを分かち合うことができます。体調不良で話す余裕がない時は、SNSで連絡を取る、相談するなら誰に話すかイメージをするだけも気持ちが楽になることが多いです。

■■タイムアウトを取る

イライラが溜まってきたと感じたら、少し時間を置いて冷静になる時間を作ることが有効です。その場から離れる、短い休憩を取り、水を飲んでリフレッシュするなどしてみてください。

■■運動をする

軽い運動は、エンドルフィンを分泌し、気分を向上させます。体調がある程度回復している場合は、無理のない範囲で、ストレッチや軽い散歩をするだけでも効果があります。

■■感情を紙に書き出す

自分の感情や考えを紙に書き出すことで、頭の中が整理され、ストレスが軽減されます。

これらの対処法を実践することで、体調が悪い時のイライラ感を少しでも和らげることができるでしょう。

ライター/石上友梨(臨床心理士、公認心理師)