役員は雇用保険に入れる?|役員が加入できるケースを解説【シン・会社のマナー】

AI要約

雇用保険制度は労働者の生活や雇用の安定を図る制度で、失業時の給付や再就職支援など多くの制度がある。

雇用保険の適用除外者には、労働時間や雇用期間の要件を満たしていても適用外となる人がいる。

会社役員も一般的に被保険者とはならないが、労働者としての性格が強い兼務役員は適用されることがある。

役員は雇用保険に入れる?|役員が加入できるケースを解説【シン・会社のマナー】

雇用保険制度とは、労働者の生活および雇用の安定、福祉の増進などを図る制度です。失業したときの給付や再就職の促進のほか、育児・介護休業に対する給付、教育訓練に対する給付など多くの制度が設けられています。

ただし、この制度は適用事業所で働くすべての人が対象になるわけではありません。雇用保険の被保険者になるためには、一定の要件を満たす必要がありますが、役員や昼間学生などそもそも適用の対象にならない人もいます。今回は、役員を中心に雇用保険の適用除外について、人事・労務コンサルタントとして「働く人を支援する社労士」の小田啓子が解説していきます。

雇用保険の適用除外者というのは、どのような人を指すのでしょうか? 具体的な例を見ていきましょう。

◆適用除外者とは?

適用事業所で働いている人が、雇用保険に加入するための主な要件は2つあります。「所定労働時間が週に20時間以上であること」と「31日以上雇用される見込みがあること」です。この2つの要件を満たせば、本人の意思にかかわらず被保険者となります。ただし、雇用保険には「適用除外」というルールがあります。

適用除外者に該当する人は、労働時間などの要件を満たしていても被保険者にはなりません。雇用保険制度は、失業した人や雇用の継続が困難な人のサポートを目的としているため、この制度の中で保護する必要性が薄い人を対象外としているのです。

公務員などは、離職した場合なども他の法令や規則で必要な給付を受けられるので、適用の対象とはなりません。昼間学生や季節的に短期雇用される人、家事使用人、海外で現地採用された人、さらに他の事業所で雇用保険の被保険者となっている人も適用除外者となります。

◆会社役員は被保険者にならない?

会社役員はどうでしょうか? 雇用保険が適用されるためには、雇用されている労働者であることが条件です。当然のことながら、法人の社長や個人事業の事業主は、被保険者になることはできません。経営者は雇用主であり、労働者にあたらないので、雇用保険の対象にはならないのです。

その意味で法人の役員も、被保険者からは除外されます。けれども、役員ならすべて適用除外となるわけではありません。例外として、労働者としての性格が強い「兼務役員」は、雇用保険の被保険者になることができます。ただし、実際に被保険者になるためには、特定の条件と手続きが必要になります。