転職者の3人に1人が希望…もはや退職した会社への“出戻り”は恥ずかしくない?

AI要約

転職者の3人に1人が、過去に退職した会社への“出戻り”を希望しているという。

人手不足による影響や会社と従業員の関係の変化により、出戻りの需要が増加している。

他社を経験したことで会社の良さを再認識し、即戦力として復帰するケースが多い。

転職者の3人に1人が希望…もはや退職した会社への“出戻り”は恥ずかしくない?

 転職者の3人に1人が、過去に退職した会社への“出戻り”を希望しているという。調査を行った大手就職情報サイト「マイナビ」によると、回答者は「退職前に気がつかなかった良い面に気づいた」などの理由を挙げているとのこと。

 トヨタなどの大企業を中心に、卒業生や同窓生を意味する“アルムナイ”採用を行っている企業は少なくない。

「ジョブリターン制度はもともとIT企業で進んでいましたが、昨今は技術系などでも盛んに行われています。退職から3年以内に戻ってくれば、以前と同様の条件で再雇用する会社もあります」(人事ジャーナリスト・溝上憲文氏)

■人手不足も影響

 バブル崩壊以降、終身雇用で育まれた日本企業の家族的な風土が失われ、会社と従業員の関係はドライなものに。その結果、人材の流動化が進んだが、退職者の再雇用は昨今の人手不足による影響も大きい。

「ビジネスのあり方が目まぐるしく変わる中、リストラが当たり前のように行われ、会社が社員の面倒を一生見られなくなった一方、個人もひとつの会社にしがみつくのではなく、気楽に転職ができるようになりました。ところが、自分の能力がもっと生かせると会社を飛び出したものの、青く見えていた隣の芝生が思っていたのと違ったというケースはよくあります。かつて退職者は会社側にとって裏切り者と見なされる傾向があり、辞めた側にも後ろめたさがあるので出戻りたくてもそうしづらい状況にありました」(溝上憲文氏)

 採用のミスマッチは頻繁に起こるものだが、たとえ転職先の水が合わなかったとしても、出戻るのは“恥ずかしい”“みっともない”という空気があった。そのため、会社、個人の双方から敬遠されがちだったが、今や出戻りの印象は様変わりしている。

「業績不振などで早期退職を実施せざるを得なくなった場合、会社にとって辞めてほしくない人材ほど退職していく傾向にあります。しかし、元従業員が退職後も元の会社と良好な関係を構築しているケースが増えています。今の時代、若手の離職などは引き留めづらいものの、他社を経験した人材に戻ってきてもらえるように、職場環境の改善や福利厚生の充実に努めている会社が少なくないようです」(溝上憲文氏)

 他社を経験したからこそ、辞めた会社の良さや強みに気づけたというパターンは多く、復帰後は即戦力人材として重宝されるという。