まるでゴミ屋敷……物であふれかえった居室に暮らす発達障害の夫に「大量処分」を決意させた「ある出来事」

AI要約

発達障害やグレーゾーンの人が物を捨てられない理由やその心情について解説されています。

共用スペースが物で溢れてしまう問題や個人の居室がカオスになることについて触れられています。

物を捨てることへの不安や思い入れ、対処方法について具体的な事例とともに紹介されています。

まるでゴミ屋敷……物であふれかえった居室に暮らす発達障害の夫に「大量処分」を決意させた「ある出来事」

発達障害・グレーゾーンの気になる「あの人」は、物を捨てられないことが多いそうです。漫画家・野波ツナさんの夫・アキラさん(発達障害あり)もそのタイプ。溜め込んだ物が家族の共用スペースにはみ出ることすらあり、ずいぶん困ったそうです。ところがそんな状況はある日一変します。果たして何があったのか、そこから著者はどんなヒントを引き出したのか、新刊『発達障害・グレーゾーンの あの人の行動が変わる言い方・接し方事典』よりとっておきのエピソードを紹介します。

前編記事『「片付け」はむしろ禁句……発達障害・グレーゾーンの人が整理整頓に取り組みやすくなる「意外なパワーワード」とは』はこちらから

『発達障害・グレーゾーンの あの人の行動が変わる言い方・接し方事典』(野波ツナ/著、宮尾益知・滝口のぞみ/監修)は好評発売中!

発達障害がある、あるいは発達障害の特性がみられる「あの人」は、片付けが苦手……といいう場合が多いようです。そういう人の居室は、残念ながら「カオス」に陥っていることが間々あります。

ASD(自閉スペクトラム症)がある私の夫・アキラさんがまさにそうでした。

「共有スペースの使い方が汚いのは困るけど、個人の居室ならいいじゃないか」

そういうふうに考える人もいるでしょう。確かに、リビングを散らかすよりはマシかもしれませんが、限度があるでしょう。

また、なかには物を「捨てられない」タイプの人もいますが、そんな「あの人」の居室から物があふれ、共用部分が〈浸食〉されてしまい、個人の問題では終わらなくなってしまうこともあります。

たとえばある家庭では、「あの人」=ネコの持ち物をめぐってイザコザが起きようとしていました。

こんなふうに、ついつい物をため込む「あの人」は、おおむね次のように感じているようです。

●「今は使ってないが、いつか使うかもしれない」

本当に使うつもりでいるが、見通しは立っていない。でも捨てたら使えないので、いまは判断すること自体を避けたいと思っている。

●「自分の所有物がなくなるのはイヤだ」

所有物=わが身の一部という感覚がある。物がなくなると自分の思い出や体の一部もなくなるような感じがして不安になる。

というわけで、それぞれの物ごとに「あの人」なりの思い入れがあるせいで、身の回りにあるのはすべて「いる物」になっています。「いらない物を捨てて」と言っても効果がないのは、きっとそのためです。では、どうすればいいでしょうか。