子どものウソにも種類がある。子どもがウソをついた時、親はどうするのが正解なのか
子どもが3歳ごろになると、おしゃべりができるようになり、ウソをつくことが見られるようになる。
子どものウソにはさまざまな種類があり、意図せずウソをついてしまうこともある。
ウソをつく能力は相手の考えを推測する力が必要であり、5歳ごろに身につき、10歳ごろにさらに発達する。
【発達心理学からみた赤ちゃんの成長】子どものこころの発達はさまざまな事柄が関係しあい、枝葉のように広がって進んでいくものです。たくさんの枝葉を支える太い幹と根っこが育つには、長い時間が必要です。子どもも親も試行錯誤して、失敗と修復を繰り返しながら、育っていきます。保護者や保育者向けに、就学前までの子どもの発達や対応の具体例をわかりやすく解説した『子どものこころの発達がよくわかる本』から一部を抜粋してお届けします。
子どもが3歳ごろになっておしゃべりができるようになると、ウソをつくことが見られるようになります。
ただ、この場合、人をだまそうと思ってウソをつくことはそれほど多くありません。ほとんどの場合は、発達が未熟ゆえに、口からでた言葉が結果的にウソになってしまうのです。
そもそもウソをつくには、相手の考えを想像する能力や相手の気持ちを自分の意図するほうへ向けさせる能力が必要なため、2~3歳ぐらいの子にはまだ難しいといえます。まずはそのことを心にとめておきましょう。
■ウソにもいろいろな種類がある
子どものウソの原因はさまざまです。意図せずウソになっていることがよくあります。
・記憶力が未発達なことが原因
一度に記憶できる容量が少なく、事実をきちんと覚えていられない。そのせいでウソになってしまう
・願望がつい口からでてしまった
願望がそのまま口からでることがある。「飛行機に乗りたい」→「飛行機に乗った」というように言ってしまう
・注意を引きたくてついてしまうウソ
心配してほしい、注目してほしいために「おなかが痛い」などのウソをつく。大人の愛情や助けを欲しているときに見られることが多く、要注意のサイン
・叱られたくなくてとっさにウソをつく
自分の身を守るため、つい「ぼくじゃないよ」などとウソをつく。子どもなら誰にも見られる言動
ウソを上手につくには、相手がこう考えるだろうといった他者の考えを推測する力、「こころの理論」を獲得する必要があります。
この力は5歳ごろになると身につき、10歳ごろにさらに顕著に発達します。それにともないウソも巧みになっていきます。
子どもがウソをついたときは、むやみに叱責せず、なぜウソをついてしまったのか、その背景を理解することからはじめ、対応を考えましょう。なお、成長するとウソをつくこと自体が減っていきます。というのも、ウソをつくとこころが落ち着かず、居心地が悪いことに自分でも気づくからです。
■2歳でもウソ泣きをする?
2歳くらいの子でもウソ泣きすることはあります。泣くことで自分の要求がとおりやすいとわかってくるからです。理解力が育っている証拠です。
■ときにはかけ合いを楽しんで
自分や他人を傷つける悪意のあるウソは注意したいところですが、子どものウソの多くは他愛のないものです。ときにはウソにのってかけあいを楽しみ、コミュニケーションをとるのもよいでしょう。
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