この「一文字」を換えるだけで国語が一気に伸びる…国語教師が教える「花マルがつく文章」のコツ
文章力の向上には、読み手に対する意識が重要である。
文章には因果関係を明確に示すことが重要であり、過剰な関係詞の使用は避けるべきである。
文章の中で自明の関係や当たり前のことには、意味のない関係詞を加える必要はない。
「文章力が低い」と思われる文章はどこに原因があるのか。横浜国語研究所代表取締役の福嶋隆史さんの書籍『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』(大和書房)より、わかりにくい文章の特徴についての解説をお届けする――。
■読み手に対する意識が薄い
日々子どもたちの文章を添削していると、ある種の共通性が見えてきます。それは、「読み手に対する意識が薄い」ということです。
たとえば、こんな文。
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(A)思い通りに試合で勝ててうれしくて、あいさつをする前についガッツポーズをしてしまって後からコーチに注意された。
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一見して分かるのは「て」の多さです。私はこれを、「ててて文」と呼んでいます。
次の文とくらべてみてください。
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(B)思い通りに試合で勝つことができたため、うれしくなり、あいさつをする前についガッツポーズをしてしまった。そのせいで、後からコーチに注意された。
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ちょっとカタい印象は受けますが、これが「読み手を意識した文」であり、書き言葉とはこういうものでなければなりません。
■「関係を意識しているかどうか」が違う
さて、何が違うのでしょうか。
端的に言うと、「関係を意識しているかどうか」の違いです。
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思い通りに試合で勝つことができた
だから ↓ …………(できたため)①
うれしかった
だから ↓ …………(うれしくなり)②
あいさつをする前についガッツポーズをしてしまった
だから ↓ …………(そのせいで)③
後からコーチに注意された
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先の短い文の中に、実は①~③の3つの因果関係があります。
■採点者は好意的に読んではくれない
Bの文は、原因と結果という「関係」を意識して書かれたからこそ、分かりやすい文になっているのです。
たしかに、Aの文でも、読み手が好意的に解釈すれば、そこにある因果関係を推測できます。
しかし、多くの読み手は通常、好意的ではありません。
とりわけ、読解問題の採点者は、記述解答を好意的に読んではくれません(むしろ、その逆です)。
■「ので」「ため」「から」をつければよいというものではない
ここで、ひとつ例題を挙げておきましょう。
次の文を、因果関係がはっきりした文に書きかえます。
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バスで行くとお金がかかりそうで、自転車で行くことにした。
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真ん中の「で」の部分がポイントですね。答えは次のようになります。
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バスで行くとお金がかかりそうなので、自転車で行くことにした。
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ただし、何でもかんでも「ので」「ため」「から」などをつければよいというものではありません。つけ過ぎは禁物です。
たとえば、次の文。
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朝がきたので明るくなったので、目が覚めた。
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朝がくれば明るくなるのは当然ですし、明るくなれば目が覚めるのも自然なことです。このように、あえて因果関係を説明するまでもない自明の内容には、「ので」などをつける必要はありません。次のような文で十分です。
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朝がきて明るくなり、目が覚めた。
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