癇癪を起こす、ADHDの息子が怖い…自閉症スペクトラムの母親がいままで誰にも言えなかった「強烈な苦しみ」

AI要約

親子関係で悩む発達障害を抱える人や親自身の問題を解決するために、ADHD専門のカウンセリングルームの代表が親の視点で解説。

尚子さんの息子がADHDで、自分は自閉症スペクトラムの傾向があり、親子の喧嘩が絶えない悪循環に陥る。カウンセリングを通じて自分の本当の望みと息子との関係を見つめ直す。

自閉症スペクトラムの特性や感覚過敏が親子の関係に与える影響についても解説。

癇癪を起こす、ADHDの息子が怖い…自閉症スペクトラムの母親がいままで誰にも言えなかった「強烈な苦しみ」

身近に発達障害を抱えていて親子関係で悩んでいる、苦しんでいる人はいませんか?

または、もしかしたら、あなた自身が親子間の繰り返される問題に直面していませんか? ADHD(注意欠如・多動症)は、発達障害の1つで、不注意や注意持続の困難、衝動的な行動が特徴です。遺伝が影響することも多く、海外の研究では両親がADHDの場合、子どもがADHDになる確率は20~54%とされています。

ADHD専門のカウンセリングルーム「すのわ」の代表であり、臨床心理士・公認心理師の南和行さんが、「親子ともにADHD傾向のある人のトラウマ、親子関係の困難さ」の特徴と解決策を親の視点を中心に解説します。

小学2年生の息子を持つ尚子さんは、非常に真面目で不測の事態に柔軟に対応することが苦手です。一方で息子はだらしがなく、約束を守れないことが多くあります。そのたびに、尚子さんは息子を厳しく叱責し、それに苛立った息子が癇癪を起こし、親子喧嘩が絶えなくなってしまう、という悪循環に陥っていました。息子にはADHDの、尚子さんには自閉症スペクトラムの傾向があります。尚子さんは自分では感情をどうすることもできず、カウンセリングに通うことを選びました。

尚子さん親子が抱えていた重大な問題は前編記事「厳しくしつけていたはずの小2息子が『いじめ加害者』になり、愕然…母親に蘇った『すさまじいトラウマ』」からお読みいただけます。

カウンセリングを通して尚子さんが、どのように変わっていったかを見ていきましょう。

カウンセリングの中で、自分が本当は何を望んでいて、どうなりたいのかを振り返っていきました。尚子さんは、想定外のことが起こることが苦手で、予測できないことが起こると不安になってしまう特性を持っていました。そして本当の望みは安心であることを気が付きました。息子が癇癪を起すと、どうなってしまうか分からないことが怖く、息子を過剰にコントロールしようとしていた自分がいることが分かりました。息子との関係においても、安心して関わりたいのが一番であることが確認できました。

発達障害の1つである自閉症スペクラム(ASD)の特性として、変化に対して強い苦痛を感じやすいことがあります。また感覚過敏もASDの特性です。感覚過敏のある人は、五感の一部もしくは複数が敏感なため、過敏のない人に比べストレスを感じやすくなります。この2つの特性が息子の癇癪で出す大声のストレスを増大させていました。