男性の更年期障害 80%以上が医療機関受診せず…「何の病気か分からず困っている方も」治療方法・兆候サインは?

AI要約

更年期障害について、男性も女性だけでなく悩む現状が紹介されています。

男性の更年期障害の実態や周知不足、診断方法、治療などが具体的に述べられています。

家族が気づくサインや対応方法も示唆されています。

男性の更年期障害 80%以上が医療機関受診せず…「何の病気か分からず困っている方も」治療方法・兆候サインは?

つらい「更年期障害」、近年は女性だけでなく「男性の更年期障害」に対する取り組みも始まっています。

2023年に鳥取県庁が職員に向けて行った「更年期症状」に関するアンケートで、1177人の回答者のうち、更年期症状を経験したという人の割合は、女性が41%、男性でも31%にのぼりました。

この結果を受け鳥取県では2023年10月に、「更年期症状」に悩む人へ向けた特別休暇を新設。これまでに女性20人、男性10人が取得しました。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、従前から導入していた「生理休暇」を、今年4月より「ヘルスケア休暇」として新設。月経による体調不良に加え、男女問わず更年期障害でも休暇を取ることが可能になりました。

実際に更年期障害を発症し、ホルモン注射などの治療を行っている60歳の男性は、世の中に「男性も更年期障害になる」ということを知ってもらいたいと話します。

更年期障害を患う60歳男性:

体が鉛のように重たくなって、その意識がどっか行ってしまいそうなぐらい、しんどくなるっていうんですか。

なんの病気か分からずに困っている方もかなりいると思う。世の中の男性の人に、こういう病気があって、こういう治療法があるということを知ってもらいたい。

身近にいる人も悩んでいるかもしれない「男性の更年期障害」。しかし、周知はいまだ進んでいません。

2022年に厚生労働省が行った「更年期症状・障害に関する意識調査」(全国20~64歳の男女計5000人)では、「男性にも更年期にまつわる不調があることを知っているか?」という問いに対して、女性の40代以降は約30~50%近くが「よく知っている」と答えたのに対し、男性は最も高い60~64歳でも16.5%にとどまりました。

また、男性で更年期障害を自覚した人の中で、「医療機関を受診していない」と答えた人は、40代で86.6%、60~64歳は92.8%にのぼりました。(※更年期症状が1つでもある男性1308人に調査)

男性の更年期障害の外来がある「マイシティクリニック」平澤精一 総院長に、どのような症状で訪れるのか聞きました。

平澤精一 総院長:

2つのパターンがありまして、1つはご自分の判断でいらっしゃる場合、もう1つはご家族に指摘されて受診される場合です。ご自分の判断の場合は、倦怠感が強いとか、意欲や集中力が低下して仕事の能率が低下するので心配になって受診する方。

もう1つは、ご自分は倦怠感があっても、年齢のせい、あるいは仕事がハードだからと病識はないのですが、ご家族から見ると「明らかに以前と違っておかしいぞ?」という場合で、奥さまが手を引っ張って受診するというケースもあります。 

男性の更年期障害の症状としては、以下のようなものがあります。

【心の症状】

不安・イライラ、眠れない、集中力・記憶力の低下、興味や意欲の喪失、うつ症状 

【体の症状】

疲労感、筋力低下、筋肉痛、異常発汗・ほてり、頻尿

また、厚労省や自治体などでは、自分が更年期障害かどうか判断するためのチェックシート、AMSスコア(男性更年期障害質問票)も公開しており、さらに詳しく“可能性のある症状”を知ることができます。

――家族としてはどのようにしたらいいのでしょうか?

平澤精一 総院長:

ご家族の方が気づくサインというのがございまして、例えば今まで好きだったスポーツ、あるいは趣味などに興味を示さなくなってきているとか、身だしなみに気を使わなくなってきたとか、今までは自主的に旅行や食事の計画を立てていたのに、奥さん任せになるだとか、いつもけだるそうにしていて、時にはイライラするとか。

このような変化がもし認められたら、これは要注意だと思います。