コロナ治療薬は公的支援なし、高額だと3万円…それでも飲むべき理由 感染症の専門家が指摘

AI要約

新型コロナ感染者数が急増し、治療費用の高騰により患者が薬を購入を躊躇している状況を紹介。

医師の勧めや予防効果を考慮すれば、薬を購入するべきだという意見。

高額な治療費用の負担が懸念される中、補助制度の必要性が提案されている。

コロナ治療薬は公的支援なし、高額だと3万円…それでも飲むべき理由 感染症の専門家が指摘

 高額な値段に躊躇してしまう。

 流行拡大中の新型コロナ。厚労省の最新(26日)の発表によると、全国約5000の定点医療機関から報告されたコロナ感染者数は、今月15~21日に6万7334人。前週の5万5072人から1万人以上も増加している。

 人流が増えるお盆に向けてさらなる感染拡大が懸念されているが、今年4月から新型コロナ治療費の公費支援がなくなった。自己負担分が増えたことで、治療薬は5日分処方の場合、高齢者など1割負担だと5200~9900円、3割負担だと1万5500~2万9700円の支払いが必要になった。薬の種類や、人によって3万円と高額なため、医療現場では薬を諦める患者が多いという。

 処方は医師の判断だが、結局のところ薬を購入するかは患者次第。以前に感染した際、解熱剤だけで回復したケースも少なくないため、懐事情を考え、悩むところだが、昭和大医学部名誉教授の二木芳人氏(臨床感染症学)は薬の使用をこう言って勧める。

■トータルでは安く済む

「薬で重症化のリスクを防ぐことができます。症状が悪化し、入院や通院が必要になった場合の治療費を考えれば、かえってトータルで安く済むこともある。高齢者や持病のある方は特に推奨されます。また、早期に治療薬を飲んだ人は倦怠感などのコロナによる後遺症が出にくいというデータがあり、こうした予防効果も期待できます。軽症から中等症を対象に処方される『ゾコーバ』は、重症化や後遺症を予防する効果を立証するデータは現時点でありませんが、一日でも早く回復したい人にとってつらい症状を和らげてくれます。いずれにせよ命に関わることなので、高いお金を払ってでも薬を飲む価値は十分にあると思います」

 さまざまなリスクを考えれば、薬は買うべきだ。とはいえ、一番高価な「パキロビッドパック」は1割負担でも1万円弱になる。年金生活の高齢者や生活困窮者には厳しい金額だ。

「重症化リスクの高い方を対象にした補助制度があってもよいのでは。薬が幅広く使用されれば、医療現場の逼迫などの混乱を事前に防止できます。政府には臨機応変さを求めたいです」(二木芳人氏)

 せっかく薬があるのに、使われなければ本末転倒だ。

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