ポルシェ911がハイブリッドに! 電動化して失ったものと得たもの【試乗リポート】

AI要約

2024年5月28日、ポルシェ911初のハイブリッドモデルが世界初公開された。新型モデルは992.2と呼ばれ、スペインで国際試乗会が開催された。

ポルシェは電動化を進め、2030年までに新車販売の8割をBEVにする目標を掲げている。しかし、911はBEVにはならず、ハイブリッド化して排ガス規制をクリアするプロセスが求められる。

2024年5月に911はハイブリッドモデルを導入。カレラとGTSの2モデルが発表され、GTSはハイブリッド仕様となった。重量増に工夫を凝らし、1600kg以下を目指している。

ポルシェ911がハイブリッドに! 電動化して失ったものと得たもの【試乗リポート】

2024年5月28日、ポルシェ911初のハイブリッドモデルが世界初公開された。今回の新型モデルは2018年にデビューした現行モデル(タイプ992)の後期型にあたるもので、通称992.2と呼ばれる。その国際試乗会が7月初頭スペイン・マラガで開催された。

ポルシェはいまラインアップの電動化を着々と進めている。2020年には初のBEV(電気自動車)「タイカン」を発売。2024年1月にはBEV第2弾となる新型SUVの「マカン」を発表した。また人気のSUV「カイエン」やスポーツサルーンの「パナメーラ」ではすでにラインアップの半数をPHEV(プラグインハイブリッド)にしている。そして、2030年には新車販売の8割をBEVにするという目標を掲げている。

では残りの2割に含まれるBEVにはならないモデルとは何なのか。それはポルシェの魂ともいえるスポーツカーの「911」だ。ただし、スポーツカーとて年々厳しくなる排ガス規制とは無縁ではいられない。一足飛びにBEVにはできないとしても、電動化(ハイブリッド化)しながら、規制をクリアしていくプロセスが求められることになる。

2024年5月、911はマイナーチェンジを機にハイブリッドモデルの導入を発表した。ただしすべての911モデルをハイブリッド化したわけではない。いまのところ新型がお披露目されているのはスタンダードな「カレラ」とハイパフォーマンスバージョンの「GTS」の2モデルであり、前者は従来と同様の3リッター水平対向6気筒エンジンを搭載する内燃エンジン車であるのに対して、後者のみがハイブリッド仕様になった。

ポルシェ911といえば、まずベースの「カレラ」や「カレラS」が発表され、順を追って「GTS」や「ターボ」、「GT3」といったハイパフォーマンスバージョンが追加されるのが通例だった。しかし、今回はベースのカレラとGTSを同時にという異例の発表となった。

それはGTSが記念すべきハイブリッド911の第一弾であるからだ。開発チームによると、911にハイブリッドシステムを搭載するにあたり、最大の課題はやはり重量だったという。一般的に同型の内燃エンジン車とPHEVを比べると+200~300kgなんてモデルも珍しくない。SUVやサルーンならまだそれも許されるが、スポーツカー、ましてや911ではそうはいかない。1600kgを切ることを開発目標とし、さまざまな工夫がこらされている。その結果、従来モデルに対しての重量増は約50kgに抑えられた。新型カレラGTSクーペのカタログ値の空車重量(DIN)は1595kgとなっている。