地域通貨で“やさしいお金”を循環していく…北海道ニセコ町のユニークなまちづくり[FRaU]

AI要約

ニセコ町で始まった地域通貨「NISEKO eumo」による新しいまちづくりの取り組みに注目。

有効期限つきの通貨であり、使用する度に町へ寄付される仕組みが特徴的。

新井和宏さんが始めた「eumo(ユーモ)」はお金を通じて感謝のサイクルを作り出し、社会的な意識を高める試み。

地域通貨で“やさしいお金”を循環していく…北海道ニセコ町のユニークなまちづくり[FRaU]

心地良く暮らすためには、自分のまちを自ら住みやすく変えていくのも一つの手。周囲を巻き込みながら率先してまちへ働きかけ、新たな地域づくりをはじめている4人を訪ねました。今回は、北海道ニセコ町で、地域通貨でお金とまちをデザインするという面白い取り組みに注目。お金を使うたびに自分も相手も地域も幸せになる。感謝が循環するまちのあり方を見に行きました。

各地で進むユニークな“まちづくり”。そんな中、お金を通して新しいまちのあり方を考えようとしているのが北海道のニセコ町だ。

その鍵となるのが2022年11月から運用が始まった地域通貨「NISEKO eumo(ニセコユーモ)」。なんとこれ、3ヵ月で“腐って”いく有効期限つきの通貨。期限が切れた通貨に加え、決済金額の1.1%も自動的に町に寄付され、経済的な問題でやりたいことができない子どもたちを後押しする活動に使われる。使用できるのはその理念に賛同する加盟店のみで、専用アプリにお金をチャージして決済する。

面白いのは決済時に「ギフト」という画面が現れ、利用者は任意の金額をお店側に支払えること。要はチップだが、ニセコユーモの生みの親である新井和宏さんは、それをあえて「ギフト」と名付けた。そこにはモノを買ったりサービスを受けたりした人に「ありがとう」の気持ちを主体的に表してほしい、受け取った側も、その気持ちを今度は他の誰かに贈ってほしいという願いがある。

「資本主義社会では、できるだけ安く作ってたくさん売るということが基本ですし、多くの人がそれを求めてきた。環境や人に優しくていいものを作ろうと思うと価格が上がって売れにくい。正直に商売すればするほど馬鹿を見てしまうような社会は果たして幸せなのでしょうか。私は人間の根底には誰かの役に立ちたいという思いがあると信じています。でも今の社会ではそれを行動に移すのが難しい。だったらその気持ちを後押しして行動に繋げられる仕組みがあったらいい。そんな思いから『eumo(ユーモ)』を始めました」