「オフィスではすっぴん」が普通のパリジェンヌたちが化粧をする時とは? 南沢奈央が感嘆した“ありのまま”の姿

AI要約

パリオリンピック開会式の舞台はセーヌ川で、近代五輪史上初の川での開会式となる。セーヌ川はトライアスロンやオープンウォータースイミングの競技会場にもなるが、水質が問題視されていた。パリ市長の水泳での安全性アピールもあったが、競技の可否は未だ不透明。そんなセーヌ川を一望できる面接で、カラーコンタクトのことを指摘された著者は、17年間ルイ・ヴィトンに勤務し、パリジェンヌの生き方を提案する本を執筆。

書籍『パリジェンヌはすっぴんがお好き』では、パリジェンヌの生き方とは自分らしさを受け入れ、ありのままでいることを表す。著者も初めはそういった姿勢から遠かったが、経験を通じて自分を尊重し、他者を受け入れる器の大切さを学んだ。

パリジェンヌとは生まれ育ちを超え、感性や態度、価値観を指す。著者も最初はパリジェンヌとは程遠く、他人の評価に左右される状況だったが、自分らしさを取り戻す過程でパリジェンヌらしさを発見した。

「オフィスではすっぴん」が普通のパリジェンヌたちが化粧をする時とは? 南沢奈央が感嘆した“ありのまま”の姿

 いよいよパリオリンピックが始まる。

 現地時間26日に行われる開会式は、セーヌ川が舞台となる。競技場の外での開会式は近代五輪の歴史で初めてだそうで、船に乗っての「行進」という演出は楽しみの一つだ。

 セーヌ川は今回、トライアスロンとオープンウオータースイミングの競技会場にもなる予定だ。ただ、これまで過去101年間、水質汚染が理由で遊泳が禁止されてきた川。そこでパリ市長が自ら、ウエットスーツで泳いで水質の安全性をアピールした、というニュースを見た。それでも、実際に競技が行えるかどうかは直前までわからないのだとか。いろんな意味で、セーヌ川は注目の的になりそうである。

 そんなセーヌ川が一望できるオフィスでの面接で、つけていたカラーコンタクトを「似合わないわ」と指摘されたのち、ルイ・ヴィトンに入社したその人物が本書の著者・藤原淳さんである。

 ルイ・ヴィトンといえば、今回の聖火トーチとメダルをそれぞれ収納するトランクを手がけたと話題になっていた。収納、保護するだけではなく、展示も行えるように、開いた状態でもエレガントなデザインとなっている。値段をつけるとしたら、トーチトランクは3000万円、メダルトランクはなんと1億円にもなるのだそう……!

 著者はルイ・ヴィトン本社に17年間勤め、PRトップまで務めた。現在はパリに住み、コンサル活動と共に、作家活動をして現地で本の出版もされているが、初めて日本語で執筆されたというのが、パリジェンヌの「私らしい」生き方を提案する『パリジェンヌはすっぴんがお好き』だ。

 パリジェンヌ、とは。

 直訳してしまえば“パリに生まれ育った女性”だが、ここではもっと広く、感性や態度、価値観、つまり生き方のことを表す。ありのままの自分を受け入れて、さらけ出して生きていくこと。

 自分に自信がない。周りの人の評価が気になる。他人の顔色をうかがう。空気を読んでしまう――。こう並べてみると、わたしはパリジェンヌとは対照的なタイプだが、「自分らしく、ありのままでいたい」とは常々思っている。なぜなら、気を遣ってばかりで疲れるからだ。

 でも、「自分らしさ」「ありのまま」がわからない。3歳の姪っ子が「ありのままの姿見せるのよ~」と歌うたびに妙に胸に刺さる。「レリゴー」と全力で英語でも歌おうとしているところを見ていると、やはり「ありのまま」って輝いているなと思う。

「もっともパリジェンヌな日本人」と業界内外から称されるほどだったという著者だが、わたしと同様、初めはパリジェンヌとは程遠く、見られ方を気にしてばかりだったそう。先述した面接の一件もそうで、最初にルイ・ヴィトン本社に日本式で暗色のスーツで行ったらあまりにも場違いだと感じ、そのときに廊下ですれ違った、いかにも仕事ができそうな女性のルックスをそのまま真似して、さらにカラーコンタクトまでつけて、次は出向いた。だが、それを広報部長に見抜かれて、「ヘタな小細工はおやめなさい」とまで言われてしまったのだ。

 だがパリジェンヌはそれで終わらない。こう付け加えてくれたのだそうだ。「ありのままでいいのよ」。

 自分を尊重することの大切さを伝えながら、相手を受け入れる器も見せてくれる。人としてなんてかっこいいのだろうと、惚れ惚れしてしまう。