【独自検証】「100%の安全はあり得ない」 パリ五輪 “テロ時代”になぜ屋外開会式

AI要約

パリオリンピックの開幕を控え、開会式がセーヌ川で行われることについて、警備の難しさやリスクについて議論されている。

パリ市内では警備が厳重に行われており、テロの脅威に備えて様々な警備組織が8万人態勢で対応している。

開会式は”屋外エリア”で行われ、オリンピックを超えた“悲願”がそこに込められている。

【独自検証】「100%の安全はあり得ない」 パリ五輪 “テロ時代”になぜ屋外開会式

「スタジアムで開催する方が、はるかに警備は簡単です」

セーヌ川の船上で安全保障の専門家が断言したのは、リスクをゼロにできない厳しい現実だった。いよいよ今週金曜に開幕が迫るパリオリンピック。その序幕を飾る開会式では“パリの動脈”セーヌ川6キロを舞台に、選手の入場パレードが行われる。

観客だけでなく、首脳の数までもが”過去最大級”になると見込まれるなか、なぜパリは、従来のスタジアムではなく、あえてリスクが高い“屋外”を開会式の舞台に選んだのか。取材から見えてきたのは、オリンピックという枠組みを超えた“悲願”だった。

(取材:テレビ朝日「サタデーステーション」青山ななみ・萩原誠悟)

サタデーステーションが向かったのは、 オリンピック一色に染まる“花の都”フランス・パリ。街のシンボルであるエッフェル塔には巨大な五輪のシンボルが設置され、至る所で、競技会場の設営が最終局面を迎えていた。

「混雑が嫌で大会期間中は“パリ脱出”を考えていたけど、やっぱり留まることにしました」

パリ市民からはこんな意見も。今月26日に開幕するオリンピックでは、32競技329種目で熱戦が繰り広げられ、世界中の視線が、この街に釘付けになる。

だが、正直、取材班がパリで感じたのは、常に監視されているような“違和感”だ。数分おきに聞こえてくるのは、緊急走行するパトカーのけたたましいサイレン。どこを歩いても、銃を抱えた人々とすれ違う。最初は警察官だけかと思ったが、身にまとう制服は様々だ。

調べてみると、国家憲兵隊やフランス軍の兵士までもが巡回にあたっていることが分かった。さらに大会期間中は、約40カ国から集めた治安部隊や民間警備員も加わり、8万人態勢で警戒にあたるという。すでに緊迫した空気のなか、18日には、シャンゼリゼ通りで男が警察官の首を刃物で切り付ける事件が発生。その後、男は射殺された。

世界から注目を集めるオリンピックは、これまでも度々、テロリストたちの格好の標的にされてきた。今大会をめぐっても、今年5月、サッカーの試合を狙ったテロを計画した疑いでチェチェン出身の18歳の男が逮捕されている。テロの脅威におびやかされる“平和の祭典”だが、その序幕を飾るのは、セーヌ川6キロという広大な「屋外エリア」を使った選手入場の水上パレードだ。