10億円を相続した男性が会社を辞めてから気づいた…「月給23万円の価値をナメてはいけない」と断言するワケ

AI要約

ある日突然10億円を手にした会社員が、遺産の管理条件に悩む姿を描いたストーリー。

遺産を守りながら安定収入を得るため、預金の利息収入を選択したが、物価上昇率とのバランスが難しい状況。

最終的には、遺産相続による収入だけでは十分な暮らしを送れないと気づき、会社員を辞めたことを後悔する。

10億円を相続した男性が会社を辞めてから気づいた…「月給23万円の価値をナメてはいけない」と断言するワケ

ある日突然10億円を手にしたらあなたは会社を辞めますか? その選択は意外に賢くないかもしれません。韓国で100万部の大ヒット。とてつもなく貧しい境遇から成り上がり、韓国人として初めて、アメリカの外食産業で大成功した希代の起業家、キム・スンホ氏が語る「伝説のお金の授業」を邦訳版として書籍化した『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けします。

会社員のジェウク氏はある日、子どものいない伯父から10億円という大金を相続した。これからお金持ちの人生が待っているんだと思ってわくわくしたが、遺書をよく読むとふたつの条件が書かれていた。ひとつ、遺産を一銭も失ってはならない。ふたつ、年間の物価上昇率は利益から差し引く。

どうやら伯父は、自分の身内が贅沢や放蕩生活で資産を食いつぶすのを見たくなかったようだ。そこで伯父は、お金をしっかり管理できる者だけに遺産を相続させようと考えた。もしこの条件のうちひとつでも破れば、遺産はただちに回収するという但(ただし)書きもあった。

さて、どうしたものか。ジェウク氏は頭を悩ませた。10億円は、誰もが容易に稼げるような額ではない。毎日10万円ずつ、約30年かけてやっと貯められる大金だ。不動産を購入して賃貸に出す方法がよさそうだが、家賃滞納のリスクはあるし、固定資産税や不動産価格の変動も考慮する必要がある。株式投資はもっと恐ろしい方法だ。

「最も安全なのは、貯蓄して利子を受け取ることだろう」

銀行預金なら元本も保証されている。そこでジェウク氏は、2020年4月現在の韓国各銀行の利率と商品を調べてみた。

KB国民銀行の1年満期定期預金の金利は年0・80%だ。

NH農協銀行の定期預金「大満足実質預金」は基本金利が年0・75%。

ウリィ銀行の「WON預金」は年0・65%。

ハナ銀行の「株取引定期預金」と「高段位プラス定期預金」はそれ0・75%と年0・70%だった。

政府の基準金利引き下げのため、利率はほぼ1%以下になっている。

1年満期定期の利率が0・80%と最も高いので、10億円を預金すると利子は800万円だ。

15・4%の利子課税123万を差し引くと、満期時の手取りは10億677万円。

年に677万円の収益があれば、十分に余裕のある暮らしができそうだ、とジェウク氏は考えた。

ところで韓国統計庁の消費者物価調査によれば、ここ5年間の消費者物価上昇率の平均は1・1%だ。

幸い2019年度の物価上昇率は0・4%だったので、10億円の0・4%にあたる400万円が目減りしたとして、これを利子から差し引くと、277万円の利益が出たことになる。

これを12カ月で割ると、23万円程度にしかならない。10億円という大金を相続し、富豪として素敵な人生を送れると思っていたのに。ジェウク氏は仕事を辞めたことを後悔した。