知らないと大損…! 親の財産を知っておくことが「これだけ大事」と言える理由

AI要約

相続税の申告期限に間に合わない場合には、無申告加算税や延滞税などの追加の税金の支払いが発生し、ペナルティ率が遅れるほど上がる。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、相続税を安くできる特例が適用できなくなる可能性があり、高額の相続税を支払う恐れがある。

相続税の申告には注意が必要であり、期限までに申告書を準備し提出することが重要。

知らないと大損…! 親の財産を知っておくことが「これだけ大事」と言える理由

税務署は「いつ、誰が亡くなったのか」を自動的に把握する仕組みを持っているのです。その仕組みとは、通称『ゴッパチ』と呼ばれている相続税法第58条のこと。相続税の申告をしなくても黙っていればバレない、という甘い考えは通用しないことになります。相続について知っておきたい知識を漫画で紹介します。

埼玉県に住む佐藤さん(仮名)ご一家は半年前に突然お父様を亡くされ、相続人は奥様とお子様2人の合計3人。前編でご紹介した通り、葬儀と四十九日が終わり、遺品の片付けもひと段落してほっと一息着こうと思っていた矢先に、突然税務署から「相続税についてのお尋ね」という書類が届いたとのことです。

この書類は「相続税法第58条」に基づくもの。遺産が多いにも関わらず、なかなか相続税の申告書が提出されない場合、死亡から半年を過ぎた辺りから、税務署が相続人に郵送します。そして、この申告期限は亡くなった日の翌日から10ヵ月以内と期限が決められているのです。

慌てて事務所にいらっしゃった佐藤さんご一家の場合、すでにお父様が亡くなってから半年が過ぎていたため、相続税の申告に残された時間はあと4ヵ月。急いで準備に取り掛かる必要がありました。

「もし、相続税の申告期限に間に合わなかった場合、何かペナルティがあるんですか?」

佐藤さんご一家は、焦りの色を隠せません。

もし、相続税の申告が期限までに間に合わない場合、特に大きな3つのペナルティが待っています。

1つ目は、無申告加算税や延滞税(利息)などの追加の税金の支払いが発生してしまうこと。特に、無申告加算税は、申告書を提出するタイミングが遅くなればなるほどペナルティが増えていきます。例えば、申告期限後であっても税務署から指摘される前に申告書を提出すれば、ペナルティは本来払うべき相続税の5%で済みます。仮に、本来払うべき相続税が100万円だった場合、その5%の5万円が無申告加算税となります。

しかし、税務署から税務調査の通知が相続人に来た後に申告した場合には、ペナルティが10%~15%に上がってしまいます。さらに、税務調査を受けた後に申告した場合には15%~20%に跳ね上がるため、申告が遅くなればなるほどペナルティの率が上がっていくことになります。

ちなみに、申告が必要だと分かっていながら財産を隠していたと税務署に判断されてしまった場合には、その行為の悪質さから「重加算税」として40%~50%という重いペナルティが課される恐れもあります。

そして、2つ目のペナルティは「配偶者の税額軽減」という相続税を安くできる特例が適用できなくなるという点です。

亡くなった方の配偶者が遺産を相続した場合、配偶者の今後の生活を保護するために、相続税の負担を軽くするような配慮がなされています。具体的には、配偶者が相続した遺産の額が1億6,000万円もしくは法定相続額を超えなければ、配偶者の相続税を0円にするという、かなり節税効果の高い特例が用意されているのです。しかし、相続税の申告期限に間に合わない場合には、この特例が適用できず、配偶者にも相続税が課されることになってしまいます。

最後に3つ目のペナルティは「小規模宅地等の特例」という相続税を安くできる特例も適用できなくなるという点です。

この特例は、亡くなった方の自宅を、配偶者や同居していた子供などが相続する場合、今後の生活を保護するため自宅の土地の評価額を最大8割引してくれる、こちらも大変節税効果の高い特例です。しかし、相続税の申告期限までに申告書を税務署に提出できない場合には、この特例も適用できず多額の相続税を払うことになる恐れがあります。