〈20代で借金〉急増…200万円を新卒1年目で借入れも「若いときは貯金より経験」「インフレ下では借金をしたほうが得」【CFPの助言】

AI要約

日本銀行がマイナス金利解除を行ってもなお続いているといえる「低金利」。住宅購入を予定する人からは低金利が続いてほしいという声が聞かれる。お金を借りることへのイメージは世代によって異なり、20代の借金保有率が上昇している一方、スキル習得のためのローンには肯定的な意見がある。良い借金と悪い借金の明確な定義はない。

「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」の調査によると、全体の61.7%が「できれば借金はしないほうがよい」と考えており、20代の借金保有率は40.1%に上昇している。20代の借金平均額は156万円で、増加傾向にある。

18~29歳はスキル習得のためのローンに肯定的である一方、ギャンブルや浪費のための借入れには否定的なイメージがあるが、どの項目も全体の半数以下の支持を得ている。

〈20代で借金〉急増…200万円を新卒1年目で借入れも「若いときは貯金より経験」「インフレ下では借金をしたほうが得」【CFPの助言】

日本銀行がマイナス金利解除を行ってもなお続いているといえる「低金利」。長期間の低金利によって世間の借金へのイメージは変化したのでしょうか? また、どのようなローンが実際に借入れされているのでしょうか? 本記事では、Jさんの事例とともに「お金を借りること」とその目的について、FP事務所・夢咲き案内人オカエリ代表の伊藤江里子氏が解説します。

日本銀行が2016年から継続してきた「マイナス金利政策」を2024年3月に解除し、都市銀行などの普通預金金利は0.001%から0.02%に引き上げられましたが、わずかな上昇にすぎません。一方で、住宅購入を予定している人からは、低金利が続いてほしいと願う声が聞こえてきます。長期間にわたって続いている低金利で、借金に対するイメージは変わったのでしょうか。

今回は、「お金を借りること」とその目的について考察します。

お金を借りることへのイメージ

「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」の調査※1では、お金を借りることへのイメージをきいた結果がまとめら

れています。これによると「できれば借金はしないほうがよい」と考える人が全体の61.7%を占めています。年代別で見ると、18~39歳が約57%であるのに対し40~69歳は約62~64%と高く、年齢が若い世代の方が借金に対してやや肯定的です。

実際、総務省統計局「家計調査」※2によると、20代の借金保有率(借金をしている世帯の割合)は、1997年の15.2%から2022年には40.1%へと大幅に上昇しています。つまり、4人に1人の20代が借金を抱えているのです。さらに、借金の平均額も増加しており、2022年の20歳代の借金平均額は156万円と、1997年の58万円から約2.7倍に膨らんでいます。

また、「自分に役立つスキルを身につけるためのローンはよい借入れだ」と回答した人は世代によってばらつきがあり、18~29歳が最も肯定的に捉えていて、いったん40~49歳の世代ではそれが減少するものの、50歳以降は再び増加するという変化があります。「ギャンブルや浪費のための借入れ」に否定的なイメージを持つ人が多いとはいえ、どの項目も全体の半数以下に留まっています。もともと「良い借金」「悪い借金」について明確な定義はないからかもしれません。