4年ぶりに学大へ、おかえりなさい『かふぇ りどぅ あんぐいゆ』。

AI要約

『かふぇ りどぅ あんぐいゆ』店主・木村直嗣さんと妻の良江さんは、46年目を迎える喫茶店を再オープンさせた。喫茶店は駒沢から学芸大学に戻り、常連客がすでに馴染んでいる雰囲気がある。

移転はビルのオーナー都合で40年間営業した場所から離れることを余儀なくされたが、新しい場所でも変わらず居心地の良さが感じられる。店内には高価な食器類も大事に保管されており、静かな情熱が漂う。

喫茶店は直嗣さんと良江さんにとって大切な居場所であり、馴染んだ街で長く営業を続けることを決断した。新しい場所でもお二人の周りには常に心地いい時間と珈琲の香りが漂い続ける。

4年ぶりに学大へ、おかえりなさい『かふぇ りどぅ あんぐいゆ』。

「人生には流れがあって、戻ってくるよう導かれていたのだと思います」と『かふぇ りどぅ あんぐいゆ』店主・木村直嗣さんの妻、良江さん。その言葉に、長い道のりを丁寧に歩んできた二人だから、幸運な巡り合わせがあったのだと感じた。

46年目を迎えるこの喫茶店は、今年3月、4年ぶりに駒沢から学芸大学へ帰ってきた。以前の店舗は学芸大学駅西口のすぐそばで、今回は東口から徒歩1分もかからない場所。どちらにしてもこの街を訪れる人たちに一番近い憩いの場が再びできたのは朗報だ。

2020年、ビルのオーナーの都合で、40年間営業していた場所から離れることを余儀なくされ移転。コロナウイルスが流行し始めた時期とちょうど重なり、一筋縄にはいかないスタートではあったが、試行錯誤を続けながら4年間珈琲を淹れていたら、現在のビルの大家さんが「あんぐいゆは街の景色の中に必要だから」と人に貸すつもりのなかった物件を貸してくれることになった。

考えただけで荷が重い二度目となるお店の引越しを決断したのは、戻ってきてほしいと願う人たちの顔が浮かんだから。新しいお店に移っても、すでに常連さんは馴染んでいる様子で、元からここにあったかのような居心地の良さがある。分厚いネルを使いじっくりと珈琲を淹れる直嗣さんの変わらない姿と、修理やペンキ塗りなどご夫妻が手を動かし整えた店内、コツコツ集めてきた〈ピュイフォルカ〉や〈リチャード ジノリ〉のカップアンドソーサー、〈クリストフル〉のカトラリーなど創業時から大事に扱ってきた食器が空間に調和しているからだろう。

授業を休んではさまざまな喫茶店に出向き読書を楽しむ学生だった直嗣さんと、20代の頃から朝晩必ず珈琲を飲み、初めはこのお店に通うお客さんだった良江さんは、喫茶店が大切な居場所であることをいちばんわかっていて、馴染みの街でできるところまで長く続けることを選択した。場所は変われど、お二人の周りにはずっと香ばしい珈琲の香りと心地いい時間が流れ、そこに静かな情熱が秘められているのだ。

かふぇ りどぅ あんぐいゆ

2024年3月15日に現在の場所で再オープン。元々の物件は細長く、店名はフランス語で「うなぎの寝床」を意味する。チーズケーキのほかにも、クロックムッシュやツナマフィンなど15時までのブランチメニューや17時から始まるキッシュとサラダの軽い夕食として食べられるセットもあるから、昼夜問わず訪れたい。

○東京都目黒区鷹番3-1-9 ボラボラビル2F ☎︎03-6826-2424 12:00~LO21:00 水休

photo: Kazuharu Igarashi, text: Eri Machida, edit: Toromatsu