奥浅草のイタリアン「ナコル」で、とろける新食感の生ハムにナチュラルワインを合わせて!

AI要約

イタリアンを愛する編集カナイが涙する気鋭の名店「nacol」。店主の家亀智裕さんが生ハムにこだわりを持ち、独自の切り方で極上の生ハムを提供する。

家亀さんはイタリア・モデナでの修行経験から生ハムの魅力に取り憑かれ、サルメリアでの風景が創業の原風景となる。

生ハムは薄く仕上げられ、口に入れるととろけるような食感であり、合わせる食材で味わいを変化させる技術も持つ。驚きと感動を与える生ハムの世界に触れることができる。

奥浅草のイタリアン「ナコル」で、とろける新食感の生ハムにナチュラルワインを合わせて!

フィガロワインクラブのフレンズが推薦するレストラン、ビストロ、ワインバーをご紹介! 肉屋に勤務経験があり、イタリアンを愛してやまない編集カナイが「生ハムの概念が変わった......」と静かに涙を流した気鋭の名店とは?

私がメディアのグルメ/ワイン担当、妻がフリーのカメラマンでどちらも飲食店の取材が多いことから、我が家では食卓で取材に行った店の話をするのが日常茶飯事。そんな妻に激推しされたのが、2024年4月、奥浅草にオープンした「nacol(ナコル)」。

店主の家亀智裕さんは22歳の時に独立。蒲田に構えることになった自身の店で料理を手がけるうちに、生ハムの魅力に引き込まれていった。かつてイタリア・モデナで料理の修行をしていた時、現地のサルメリア(サラミなどの加工肉を扱うショップ)のカッコよさに魅せられたのが原風景なのだと語る。

「サルメリアのスタッフってとてもラフな感じで、でもエプロンをした姿はどこかカジュアルすぎない佇まいがあって。カウンターでお喋りしながら生ハムを手際よくスライスしてお客さんに手渡す、時には常連さんがそこでグラスを片手に飲んでいたりする。そんな景色を眺めていました」

家亀さんは一念発起してスライサーを購入。誰に教わったのでもない独学で、生ハムの切り方を編み出していくことに。試行錯誤の末、自分だけにしかできない「究極」の切り方を生み出してしまった。

「一般的に生ハムって、最初のひと口は必ずおいしいんです。でも食べるうちに脂っぽさがでてきたり、塩味が強くなってきたり、パサついたりして『もういいや』ってなると思うんですよ。でも、この切り方だと口の中で生ハムが"溶ける"んです。何枚でも食べ進められる生ハムを目指してます(笑)」

私も飲食店勤務時代、手回しの生ハムスライサーを扱った経験があり、またこれまでもさまざまなサルメリア、メツゲライ、シャルキュトリーの生ハムを味わってきた自負があったが、ここまでの衝撃的な生ハムを口にしたのは初めてだった。極限まで薄く仕上げられた生ハムはふわりと空気を纏い、どこまでも軽やか。口に入れた瞬間にとろけ、優しい塩味と旨味がいつまでも余韻となって残る。シェフはさらに、合わせる食材によって生ハムの厚さを調整し、味わいに変化を付ける。その匙加減もたまらない。