【小説家・柚木麻子さん】が子育てについて思っていること。頑張っているのに罪悪感を抱くのはなぜ?

AI要約

柚木麻子さんはフェミニズムに関して今感じていることや、女性同士の関係性を取り上げた作品に対する社会の変化について語る。

柚木麻子さんは日本と海外のメディアにおけるフェミニズムの違いについて触れ、曖昧な態度を求められる風潮について語る。

柚木麻子さんは子育てに関して自信がない一方、周囲の丁寧な子育てをしている友人たちから学び、自分のペースで子供と向き合っている。

【小説家・柚木麻子さん】が子育てについて思っていること。頑張っているのに罪悪感を抱くのはなぜ?

『ナイルパーチの女子会』『ランチのアッコちゃん』など、さまざまな作品が映像化され、現在は『あいにくあんたのためじゃない』が直木賞にノミネートされている、小説家の柚木麻子さん(2024年6月現在)。昨年12月、自身初となる児童書『マリはすてきじゃない魔女』を出版されました。後編では、柚木さんご自身や、子育てについてお聞きします。

―柚木さんはフェミニズムに関して発信される機会も多いですが、今感じていることはありますか?

柚木 デビューから15年の間に、世の中の流れはだいぶ変わってきています。私は女同士の友情や関係性を題材にした作品を書いてきましたが、周囲からは「恋愛を書け、一皮むけろ」と言われ続けきました。15年後、自分の作品がこんな市民権を得ることができると思わなかったし、今回のような児童書も、今だから受け入れられるのだと思います。

日本では主張が強いことが好まれないんです。だから「私はフェミニストだけれど、男性を憎んでいるわけでもないし、好戦的でもありません」という風に、誰も批判しない、曖昧な態度を求められているように感じてきました。

ところがここ最近、アメリカやイギリスの記者に取材をされると日本とは真逆なんです。彼らにとってフェミニズムは当たり前のこと。「女性差別は反対です」とハッキリ言わないと、あなたはどっち側なの?そういう姿勢はズルくない?と言われてしまう。だから取り繕う必要がなく、とにかく取材がラクなんです。これまでの苦労は何だったのでしょう? 芸能人が海外に行ってしまうのも分かる気がします。

―柚木さんは6歳のお子さんがいらっしゃいますが、小説家という多忙なお仕事をしながら、お子さんとの時間をどのように過ごしていますか?

柚木 私は子育てについてはよくわからなくて、ご紹介できるようなことは何もありません・・・。うちの子はいつも元気で楽しそうにしていますが、何かしていることと言えば公園に連れていくくらいで、家に帰ったらYouTubeばかり見ています。

ただ、私の周りには丁寧な子育てをしている友人も多いので、ときどきよそのお宅にお邪魔してレベルの高い1日を過ごし、帰ってきたらまたYouTube、みたいなことをしています。

ひとつ思うのは、メディアに取り上げられている方々って、ものすごく体力のある、言わば「体力強者」が多いと思いませんか? 俳優さんも、文化人も、体力があって24時間フル稼働できるような人の子育てが紹介されている。

そういった人を見て、私はこんな風にできないな、と思うことがあっても、体力がないのは体質もあるので落ち込む必要はありません。「この人は体力強者なんだな」と思い直すと少しラクになりますよ。