【大学トレンド】増える「デジタル分野」学部の新設 その狙いを青山学院大の稲積宏誠学長に聞く

AI要約

情報系学部の中でも新設されつつあるデータサイエンス学部について、青山学院大学が2026年に設置を検討している理由や根拠について、稲積宏誠学長のインタビュー内容をもとに要約しました。

データサイエンスの重要性は増しており、統計を基にした古い学問としても位置づけられている。日本では表面的にしか扱われていないが、データを扱うスキルは今やどんな専攻にも必要不可欠である。

青山学院大学では、社会情報学部に続き、文理融合の姿勢を更に拡大し、データサイエンスを取り入れることで、学びの可能性を広げ、文理横断的な教育環境を提供することを目指している。学内での議論を通じて、26年度に設置を決定する予定だ。

【大学トレンド】増える「デジタル分野」学部の新設 その狙いを青山学院大の稲積宏誠学長に聞く

理系と思われがちな情報系学部。しかしいま、文系学部中心の大学でも、デジタル分野の学部を設置する大学が増えています。こうした新学部は文系科目でも受験できたり、学部・学科を問わず履修可能なカリキュラムを全学に用意したりと、領域の垣根を超えた学びを提供しているのが特徴です。青山学院大学でも、2026年にデータサイエンス教育の拠点となる理系新学部の設置を検討しています。その狙いはどんなところにあるのでしょうか。23年12月に就任した稲積宏誠学長に聞きました。

――稲積学長の専門は情報理論や人工知能、機械学習など、データサイエンスの基礎となる分野ですね。今の学生にとって、こうした学びが重要とされるのはなぜでしょうか。

いろいろなとらえ方ができますが、データサイエンスは、統計がベースとなった「古い学問」と見ることもできます。欧米では専攻にかかわらず学ばれているのに、日本では表面的にしか扱われていません。なぜなら、これは教科としてテストで問うのが難しく、入試の得点源にもなりにくい分野だからです。そのために、理論を学ぶ機会がないままになっています。しかし、多くのことがデータありきで論じられる今日、その背景を理解してしっかりハンドリングする力は不可欠です。データサイエンスは今や、文理問わず、どんな専攻にも欠かせない基本的な学びだと言えます。

――青山学院大学では、26年度に新学部「統計・データサイエンス学部」(仮称)の設置を検討していると聞いています。大学の10年後の姿として、どのような学びの将来像を描いていますか。

本学は、08年度に設置した社会情報学部で、文理横断の学際的な姿勢を掲げました。これは今まさに求められている、先駆的な取り組みだったと思います。この文理融合の概念をさらに発展させて、データサイエンスを取り込めば、学際系学部だけでなく文系学部でも学びの可能性はより広がるでしょうし、理系への刺激にもなります。データをどう取り扱うのか、文系・理系と分けるのではなく、いまの専攻にどう組み合わせるのか。いろいろな意見があります。いま急ピッチで検討していますが、トップダウンではなく、学内の議論を活性化させて、今年度中には結論を出す予定です。