ダウン症のある娘を育てる3児の母が考えた「普通とは何なのか?」

AI要約

イラストレーター・エッセイストのガードナー瑞穂さんが、次女の出産3日後にダウン症の告知を受けた経験を通して、親が障害を受け入れていく過程を描いた本書について紹介されています。

ガードナーさんは、価値観が物質的なものから経験や感動に基づくものへ変化し、愛や幸せを再定義することで人生を前向きに捉えるようになりました。

読者には、他者の価値観に縛られず、自身の幸せを見つけるために一つ一つ向き合って考えることを促しています。

ダウン症のある娘を育てる3児の母が考えた「普通とは何なのか?」

男の子1人、女の子2人の母で、末っ子である次女の出産3日後にダウン症の告知を受けたイラストレーター・エッセイストのガードナー瑞穂さん。告知を受けた日は、ネガティブなことばかり考えてしまっていたそうですが、徐々に自身の価値観が物質的なものから経験や感動に基づくものへと変化したといいます。現在は、次女のおかげで、友達につらいことはつらいと話せるようになったり、本音を話せる療育園の先生やママ友もたくさんできたと明るく語れるほどポジティブに。

そんなガードナーさんのエッセイ『ダウン症それがどうした!?と思えるママになるための100のステップ ~まりいちゃんが教えてくれたこと』(発行:東京ニュース通信社/発売:講談社)では、次女まりいちゃんのダウン症の告知を受けた日から、親が障害を受け入れていく過程を100のステップにまとめています。子育てに共通する様々な悩みもポジティブに綴られているので、障害のある子を育てる家庭だけでなく、全ての子育て世代が楽しめる内容になっています。そんな本書から抜粋して、ガードナーさんが考える「ダウン症とは?」「普通とは?」についてお伝えします。

ダウン症とは何なのか? 普通とは何なのか? 普通と違うとは何なのか? 幸せとは何か? 不幸とは?

まず初めに「世の中は、皆はどう思う?」という考えはゴミ箱に捨ててしまおう。グチャグチャに丸めてバスケットボール選手のようにゴミ箱の丸を狙ってシュートしてしまえばい い。これはあなたの意見ではないから、あなたの人生にはいらない。世の中の価値観の1コマとして自分を無視して生きるのは今日でやめだ。

あなたの人生なのだから、自分はどう考えるか、どう感じるかを一つ一つ取り出して、観察して、向かい合って、分析して、厳選して、そして選び取る作業は、もう一度生きるために欠かせない作業だ。世論を漠然とそういうものだからと基軸にして自分の意見として勘違いしていないだろうか? たとえば「幸せとは?」を一つとっても皆それぞれ違う。私はどう思う? ほんとにそうかな? と問うていくと自分が求めてきたものは意外にも実はシンプルであることに気付くだろう。実はもう手に入れているのに疎かにして、ほかを探し続けているかもしれない。

幸せとは何だろう?一人ひとりの幸せの形は違い、全く同じ形は一つもない。それに気が付くだけでもすごいことだ。世界中の人達はみんな違うんだから。自分の形を他人に押し付けて、ああだこうだと言うことが間違っていることがわかるだろう。逆に誰かに押し付けられて心を痛めるのも見当違いな話であることに気が付ける。

人生その状況にならなければ見えなかった幸せがあり、それはその当人達しかわからないし、感じられない、特別な宝物の経験だ。それをどれだけ上手に他者に説明しても共感を得るのは難しいかもしれない。当人達には見えるが周りからは見えない。本当に崇高なもの、美しいものは見えないのだから。

ほら、愛だって目には見えない。それと一緒だ。幸せも目には見えない。幸せとは本当にプライベートなものだと、私はまりいが産まれてから気が付いた。目が覚めたような感覚だ。

これに気が付かずに物質的欲望だけを追い続けて、満たされないまま生きている人はたくさんいる。自分の過去の残像もそこにあり、それにも気が付いて私は二度驚いた。まりいと出会えて私は救出されたのだ。あなたにだけわかる、あなたにだけ見える、それがあなたの幸せで世界中で唯一のあなたの幸せの形。それがわかると人生は素敵だ。周りの人の人生も唯一無二の美に満ちている。皆それぞれに小さな舞台の上で自身の物語を懸命に演じている。

さて、あなたの思う幸せとは? それが現実化したとして本当にあなたは幸せかな?

ダウン症とは? 普通とは? 普通と違うとは? 幸せとは? 不幸とは? 一つ一つ向き合って考えてみよう。