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「その人ら、家族の絆もろすぎひん?」選択的夫婦別姓について、11歳の娘が放った「感動の一言」
シングルファーザーとしてふたりの娘を育てる作家の仙田学さん。娘たちが5歳と3歳のときに離婚して以来、実家のある京都に戻りひとりで育ててきた。
小さいときはひとときでも目が離せなかった娘たちも今では小学生になり、言葉で自分を表現できるように成長。仙田さんに多くのことを教えてくれたり、気づかせてくれたりもする存在となったという。
ある犯罪についてのニュースが学校で話題になっていると聞いて、自分事として考えてほしいと思い、娘にこう問いかけた。
「悪いことをして逮捕されて、ニュースで流される人にも家族がいるんやで。その家族の人たちは何もしてなくても、悪いことした人の家族ってだけで悪口言われることもあるねん。もしパパが悪いことしたらどうする?」
「なんでそんなことしたか、理由を聞く。もし誰かをケガさせたんやったら、その人を病院に連れてくわ」
また4人で暮らしたい、いつ前の家に帰れるの? と聞かれるたびに、曖昧にごまかし続けてきた。
パパとママは離婚したんやで、だからまたみんなで前の家に住むことはもうでけへんねん、と説明できたのは、離婚して1年が経った頃だった。娘たちは真剣な顔で聞いていた。それ以降、4人で暮らしたいとは言わなくなった。そして離婚という言葉は禁句ではなくなった。
「なんで? 何がおかしいん?」と長女は聞き返してくる。
![「その人ら、家族の絆もろすぎひん?」選択的夫婦別姓について、11歳の娘が放った「感動の一言」](/img/article/20240712/669065f0ebe34.jpg)
シングルファーザーとしてふたりの娘を育てる作家の仙田学さん。娘たちが5歳と3歳のときに離婚して以来、実家のある京都に戻りひとりで育ててきた。
小さいときはひとときでも目が離せなかった娘たちも今では小学生になり、言葉で自分を表現できるように成長。仙田さんに多くのことを教えてくれたり、気づかせてくれたりもする存在となったという。
ある犯罪についてのニュースが学校で話題になっていると聞いて、自分事として考えてほしいと思い、娘にこう問いかけた。
「悪いことをして逮捕されて、ニュースで流される人にも家族がいるんやで。その家族の人たちは何もしてなくても、悪いことした人の家族ってだけで悪口言われることもあるねん。もしパパが悪いことしたらどうする?」
「なんでそんなことしたか、理由を聞く。もし誰かをケガさせたんやったら、その人を病院に連れてくわ」
「優しいな。まず事情を聞いてから、自分にできそうなことするんやね。えらいやん」
わたしがそう返すと、長女は聞き返してきた。
「じゃあ、もし〇〇(次女)が知らん人からお金盗んだらどうする?」
「とりあえず往復ビンタするわ」とわたしが答えると、次女が「おい!」とつっこんできた。
長女ならどうする?と聞くと、
「まず理由を聞くかな。ちゃんとした理由があるんやったら、どうしたらいいか一緒に考える。変な理由やったら怒る」
と答えた。
犯罪加害者の家族が、メディアからの取材対応に忙殺されたり、職を失い婚約が破棄になったり、一家離散に追いこまれたり、といった事例をわたしはいくつも知っている。加害者の家族たちは加害者本人のことをどう思っているのだろうと考えることがたびたびあった。
ところがそのような知識のない長女は、尋ねられたことについて、もてる限りの知識と経験をもとに、自分の頭で考えたことを口にした。
その内容が、知識も経験も長女より多いはずのわたしには思いつかないほど、具体的で実践的であることに驚かされた。こんな瞬間があることも、娘たちと話をする喜びのひとつだ。
また別のときに、選択的夫婦別姓制度について話したこともある。
「日本では結婚したら、片方は苗字が変わって、もう片方のと同じ苗字にせなあかんねん。ほとんどは、女の人が苗字を変えて、男の人と同じ苗字になるんよ」
「じゃあママも仙田って苗字に変わったん?」と次女。
「そうやで。結婚したときに仙田になってん。離婚したらまたもとの苗字に戻ったわ。これっておかしくない?」
離婚したばかりの頃には、娘たちにそのことをはっきりとは伝えていなかった。わけのわからないうちに家族の形も住む場所も変わってしまい、娘たちは大きな混乱と喪失感を味わっただろう。気づいていながら、きちんと説明することからわたしは逃げていた。
また4人で暮らしたい、いつ前の家に帰れるの? と聞かれるたびに、曖昧にごまかし続けてきた。
パパとママは離婚したんやで、だからまたみんなで前の家に住むことはもうでけへんねん、と説明できたのは、離婚して1年が経った頃だった。娘たちは真剣な顔で聞いていた。それ以降、4人で暮らしたいとは言わなくなった。そして離婚という言葉は禁句ではなくなった。
「なんで? 何がおかしいん?」と長女は聞き返してくる。