「もしパパが悪いことしたらどうする?」11歳少女が考えた、犯罪加害者「家族へのバッシング」の意外な答え

AI要約

シングルファーザーとしてふたりの娘と一緒に暮らす日常。忙しい中でも食事を共にし、娘たちの会話を楽しむ時間を大切にしている。

次女がパジャマにトマトソースをこぼしたときの会話から、成長する娘たちとの関係の変化を感じ取る。

幼少期から現在まで、娘たちとの触れ合いや成長を振り返る。

「もしパパが悪いことしたらどうする?」11歳少女が考えた、犯罪加害者「家族へのバッシング」の意外な答え

シングルファーザーとしてふたりの娘と一緒に暮らしているわたしは、仕事がどれほど忙しくても晩ご飯は一緒に食べるようにしている。食卓を囲みながら、その日に学校であったこと、友達と話したことなどを聞いていると、娘たちはお喋りに夢中になって箸が進まなくなる。

「ここ喫茶店ちゃうねんから早よ食べや」と促しても、ひと口食べるとまた箸を置き、お喋りの続きを始める。片付けられなくてイライラすることもあるが、娘たちにとっては大事なリラックスできる時間なんだろうな、と思うようにしている。

あるとき、次女のパジャマの袖にトマトソースがついていたので、「そのパジャマこれまでいろんなもので汚れてきたよな。醤油。ケチャップ。ソース。ご飯つぶ」とわたしは指さした。次女はドヤ顔でこう返してきた。

「ご飯つぶは全部の服についてるで」

想定外の返事にわたしと次女は笑ってしまったが、よくよく噛みしめるといろんなふうに解釈のできる言葉に思えてきた。

たしかに次女は、幼児の頃からたくさんの服にご飯つぶをつけてきた。ある年齢まではそれこそ全部の服につけていただろう。小4のいまでもたまにつけているが、さすがに全部の服にではない。

そう考えると「ご飯つぶは全部の服についてるで」という主張は、小4の次女が、まだ喋れなかった幼児の頃の自分を代弁しているようにも思えてくる。

歳を重ねるにつれて娘たちは少しずつはっきりと、言葉で気持ちを伝えられるようになってきた。小さな頃はずっと、言葉ではないもので意思を伝えあっていた。

生まれてしばらくのあいだ、娘たちはずっと腕のなかにいた。ミルクくさい体臭と石鹸の香りの入り混じった匂いをまとわせた、ぐにゃぐにゃの小さなあったかい体。目をあわせると、そこには生まれる前に見てきたものがたくさん映っていそうで、いつまでも目を離せなくなってしまう。

寝た、と思ってベビーベッドに横たえると、途端に泣きだす。抱きあげてもただ座っていてはダメで、揺らしたり立ったり、オムツがパンパンなら替えたりして、機嫌が落ち着くまで待つしかない。

歩きだしてからは、手をつないでいた。急に思いもよらない方向に走りだすので、つないだ手にはいつも少し力をこめていた。

雑居ビルの5階の窓から落ちかけたことがあり、それ以降は手をつないでいられないときにも遠くへ行かないように、ハーネスのついたリュックを背負わせるようになった。

走り回れるようになると、一緒に公園で遊んだ。膝に抱えて滑り台を滑ったり、木の枝で土に絵を描いたり、砂場で泥団子を作ったり。あちこちに旅行に出かけて、その度に写真をたくさん撮った。

保育園に通っているあいだは、どこへ行くにも一緒だった。自転車の後ろに乗せて送り迎えをしていたし、友達の家にはわたしも招かれてお邪魔していた。家の前の道路で遊ぶときにも玄関先に座って見守った。家が娘たちの友達の溜まり場になり、平日も週末も入れ替わり立ち替わり何人もの子どもたちが遊びにきた。