パキスタンK2で滑落した登山家2人の救助活動が打ち切り…ファンも懸念していた「43歳の壁」

AI要約

パキスタンにある世界第2の高峰K2(8611メートル)で滑落した登山家2人の救助活動が打ち切られたことが発表された。

43歳の登山家平出和也さんが遭難したことで、登山家の「43歳の壁」に対する議論が再燃している。

登山は遭難や滑落だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの血管疾患のリスクもあるため、注意が必要だという警告も出ている。

パキスタンK2で滑落した登山家2人の救助活動が打ち切り…ファンも懸念していた「43歳の壁」

 パキスタンにある世界第2の高峰K2(8611メートル)で滑落し、安否不明だった登山家で山岳カメラマンの平出和也さん(45)と中島健郎さん(39)について、「救助活動を打ち切った」と2人が所属する登山用品販売会社「石井スポーツ」が30日、ホームページ上で発表した。

 同社によると、平出さんと中島さんは27日午前11時半ごろ、7000メートル地点から滑落。同日にはヘリコプターによる捜索で2人の位置は確認できたが着陸できず、二重遭難の恐れがあることから、家族の同意を得て打ち切りが決まったという。同社の発表を受けて悔やまれる声とともにファンからは《43歳の壁をこえた人だったのに》《やはり43歳の壁は存在すると思うよ》という言葉が飛び交った。

 2023年2月、NHKで放送された平出さんの特集『登山家・平出和也 再起をかけた挑戦』を思い起こした人が多かったようだ。山の状況を見極めてきた当時43歳の平出さんが集大成としたのは、「K2未踏の西壁」。ナレーションでは3年後の登頂を目指し経験を積むことにしたと語られた。

■「経験の拡大に肉体が追いつかなくなりはじめる年齢」

 一方、番組では「43歳の壁」にも触れた。探検家の角幡唯介氏の著書『裸の大地 第一部 狩りと漂泊』から「多くの冒険家が四十三歳で遭難するのは決して偶然ではない」「私の考えを述べれば、経験の拡大に肉体が追いつかなくなりはじめる年齢である」と記された部分が紹介されたが、登山家や探検家では、植村直己、長谷川恒男、谷口けい、河野兵市、星野道夫は43歳、森田勝は42歳、山田昇は39歳で亡くなっている。平出さんは45歳、中島さんは39歳で今回の事故――。一般的にも42歳が厄年とされる。偶然と片付けるのは難しいだろう。

 素人にも人気の登山。近年遭難・滑落事故が数多く報じられ、7月に登山シーズンを迎えた富士山も30日時点で登山者6人が死亡し、すでに昨シーズンの4人を超えている。

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 登山のリスクは遭難や滑落だけではない。心筋梗塞や脳卒中などの血管疾患を発症する人もいるという。ヒマラヤ8000メートル峰登頂経験もある国際登山医学会認定・国際山岳医の警告とは?

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