高山病が悪化し、命を落とす・・・子どもとの外遊びで気をつけたいことを死亡事例から紹介

AI要約

16歳の男子高校生が北アルプス・蝶ヶ岳で高山病による肺水腫で死亡した事例を紹介。

高山病の症状や対処法について詳しく解説。

登山中に子どもの様子を見守り、症状が出た場合は標高を下げて治療することの重要性を強調。

高山病が悪化し、命を落とす・・・子どもとの外遊びで気をつけたいことを死亡事例から紹介

夏に向けて、子どもと一緒に登山や、川遊び、海水浴などに出かける人も多いのではないでしょうか。しかしながら、子どもの外遊び中の事故はあとを絶ちません。今回は、子どもと一緒に外遊びに行く際に気をつけたい事例と、どうやったらそれを避けられるかの解説を『子ども版 これで死ぬ 外遊びで子どもが危険にあわないための安全の話』(山と溪谷社)から紹介します。

7月上旬、父親と北アルプス・蝶ヶ岳(2677m)に登っていた16歳の男子高校生が、高山病が原因と見られる肺水腫で死亡しました。

ふたりは、徳本峠から入山、テント泊で大滝山荘をへて蝶ヶ岳を登り、その日のうちに長塀尾根を下山しましたが、その途中で男子高校生が歩行困難となり、2200m付近でテントを張ってビバークしました。深夜、大きないびきをしている高校生を父親は起こそうとしましたが反応はなく、昏睡状態だったため、救助を要請。山小屋から向かった救助隊が到着したときには心肺停止の状態で、長野県警のヘリで病院へ搬送後まもなく死亡が確認されました。

この事故をきっかけに、蝶ヶ岳に開設されている「名古屋市立大学蝶ヶ岳ボランティア診療所」では、診療所の存在を周知し、高山病の症状が出ている人を早期に発見し重症化を防ぐために、積極的に登山者に声をかけるなどの取り組みをはじめました。

・普段と違う様子がないか見守って

標高が上がり酸素が少なくなった影響で発症する高山病。症状は、頭痛、吐き気、めまいやふらつき、食欲不振など。重症化すると肺水腫や脳浮腫を引き起こし、命に関わることも。

一般的に標高2000m以上から起こるとされています。子どもは高所の影響をうけやすく、症状を言葉にして伝えられないことも多いので、元気がない、食欲がないなど、いつもの様子と比べておかしいところはないか見てあげる必要があります。

・回復しない場合は、標高を下げる

高山病防止にはろうそくを吹き消すように息を吐き、深くゆっくり息を吸うことを意識、努めてスローペースで歩き、体を標高の高い環境に慣らしていくこと。ロープウェイなどで一気に標高を上げた場合は、なおさら深い呼吸とスローペースを心掛けます。高山病の症状が出たら、水分を多くとって安静に。症状が治まらないときは標高を下げるしかありません。早めに判断して下山しましょう。

文=大武美緒子