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「窓から机が落ちてる!」教室の窓ガラスは割れ、生徒が他校とケンカ…東大合格者数トップクラスの進学校「西大和学園」の“荒れていた過去”
私立中高一貫校の西大和学園が、30年前は無名私立高校だったが、現在は東大、京大合格者数でトップレベルの進学校となっている。
西大和学園の創設者である田野瀬良太郎氏による著書から、学校の荒れた時代の様子が紹介される。
生徒たちの荒れた行動や校内のトラブルに対処する体育教師や教員たちの姿勢が描かれる。
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奈良県にある私立中高一貫校の西大和学園。今や、東大、京大合格者数で全国トップレベルの進学校だが、わずか30年前までは無名私立高校だったという。西大和学園はいかにして共学トップの進学校になったのだろうか?
ここでは、西大和学園の創設者で、学園の会長でもある田野瀬良太郎氏の著書『 なぜ田舎の無名高校が東大、京大合格トップ進学校になれたのか 西大和学園の躍進 』(主婦の友社)より一部を抜粋。西大和学園の“荒れていた時代”を紹介する。(全2回の1回目/ 2回目 に続く)
◆◆◆
ダーンッ!
すさまじい音で授業が中断された。職員室にいた先生たちが窓辺に駆け寄り、身を乗り出して地面を覗き込む。
「机ですよ、机! 机が落ちてる」
「また、あいつらか」
何か気に入らないことでもあったのか、それとも仲間同士でふざけ合っているうちに勢い余ったか、生徒が教室の窓から机を放り出したのだ。
「ちょっと行ってきますわ」
椅子の脇に立てかけてあった竹刀を手に取り、体育教師が階段をどしどしと駆け上がっていく。
“現場”にたどり着くやいなや、授業中でもおかまいなくドアを乱暴に開け、
「誰や」
絵に描いたようなこわもて体育教師のすごみを効かせた一言に、生徒たちの大騒ぎがピタリと止まる。
「お前か? ちょっと廊下に出えや」
「先生、すんません。ちょっと手がすべっただけですわ」
「お前、この前もやったろ? 2回も偶然手がすべることあるか! ケガ人でも出たらどうすんねん!」
怒号が、まだ1期生だけで空き教室の多い、がらんとした校舎に響き渡った。
放課後になっても、職員室の空気はどこか落ちつかない。
「今日こそ何も起こりませんように」
教員たちは心で祈りながら教材研究や部活の準備を粛々と進めるが、その祈りはたいてい一本の電話でかなわぬものとなる。
「嶋田先生、すんません。王寺駅まで急いで行ってもらえますか? 今、駅員さんから電話がありまして、うちの子らが他校の生徒とケンカしてるそうですわ」
「またか。かなわんな」
もめごとが起こり、“力わざ”が必要なときは、たいてい体育教師で生活指導部長でもある嶋田先生が駆り出されることになる。
西大和の丘の上にある学校からJR大和路線王寺駅までは、なだらかな坂を下って徒歩20分弱。クルマなら10分とかからない。急ぎクルマを走らせ王寺駅に到着すると、制服同士がまだもみあっている。
「お前ら、ええ加減にせんかい!」
襟首をつかんで強引に引きはがし、押さえつけた頭を駅員に向けて下げさせる。
「えらいご迷惑おかけしました」
「いくら新しい学校いうても、こういう指導は徹底してもらわんと。おたくの学校、そりゃまあエラい“評判”になってますよ」
「はい、よく言って聞かせますんで」
平謝りに謝り、生徒を追い立てるようにして駅を出る。