大神いずみ「目に入りそうな髪で野球をして父・元木大介に叱られていた中2次男が、さっぱり坊主に!何かを乗り越えた、かも?」

AI要約

瑛介が坊主頭を嫌う理由について、家族の葛藤を描いたエピソード。

瑛介の髪型が変わるにつれて、父と母の葛藤が深まる。

父親の昭和の時代の価値観と現代の息子との葛藤が描かれる。

大神いずみ「目に入りそうな髪で野球をして父・元木大介に叱られていた中2次男が、さっぱり坊主に!何かを乗り越えた、かも?」

大神いずみさんは、元読売巨人軍の元木大介さんの妻であり、2人の球児の母でもある。2人の球児の母として伴走する大神さんが日々の思いを綴る。

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◆とある夕食の時間

「ダサいから」

この言葉が瑛介の口から飛び出したとき、

《カチッ》

わたしには確かに息子が夫・元木大介の地雷を踏む音が聞こえていた。

ドカーーーーーーン!!

「坊主頭(以下略称:坊主)のどこが嫌なのか?」

という父の質問に対する息子の答えが、コレだった。

どんな真っ当な理由が瑛介の口から聞けると思ったのか、夫?(とりあえずブチ切れることは決まっていたよね)

「そんな奴ぁもう最初から野球なんて辞めちまえー!」

そういえば普段から夫の「野球辞めちまえ」沸点はとても低い。

一番瑛介に野球を辞めてもらっては困る人が何を言う…と私はつねづね思っている。

ここでヘタに私が割って入ってしまうと「夫婦喧嘩」という不覚の感電ショックに至る恐れアリ。ここは黙って忙しく箸を口に運び続けるに限るわたし。砂を噛むように自分の作った夕食が、まずい。

◆昭和の時代の野球に育てられた父

瑛介が小学校の時は兄の真似して喜んでクリクリ坊主に刈り込んでいたのに、中学に上がった途端少しずつ散髪の間隔が長くなっていった。いつの間にか風にサラサラと髪をなびかせてアハハアハハと笑いながら走る子になってしまった。

女の子の目が気になりだす時期と重なって、わたしはごく自然なことだと思っていた。

だがいよいよ両目が隠れるほど前髪が長くなってしまい、自分でも鬱陶しそうに頭で細かく前髪を振り払いながら野球をしている。

んん、確かに母が見ても鬱陶しい。そんなに気になるならその前髪、キュッとゴムで縛っちゃいなさい。いやそうじゃないだろ。

どんな華麗なファインプレーやナイスバッティングだろうと、そんな息子の汗がシトッと前髪伝いに滴り落ちる姿を、

「あ゛ぁぁあああ鬱陶しい!!」

と憎々しく見ていたのは、昭和の時代の野球に育てられた父・大介である。

「巨人の星」や「侍ジャイアンツ」を見て育ち、練習でウサギ跳びや罰走は当たり前、暑い夏も極限まで水を飲ませてもらえなかった時代の申し子。野球といえば坊主だろう、な夫の中学時代の写真を見ると、どれも「一休さん」か「三蔵法師」のような色白クリクリ坊主である。