中高年サラリーマンを苦しめる「痛風」…今は「20代」も「女性」も苦しめられる病気に⁉

AI要約

職場健診の重要性と健診結果の正しい見方を解説

痛風についての詳細な説明と尿酸値の意味について解説

痛風発作のメカニズムと注意すべき生活習慣について議論

中高年サラリーマンを苦しめる「痛風」…今は「20代」も「女性」も苦しめられる病気に⁉

 毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。

 BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。

 『健診結果の読み方』連載第36回

 『テレビやメーカーを鵜呑みにすると危険! ...「健康診断前」のビタミンCにまつわる「恐ろしい誤解」を健康情報学の専門家が徹底解説』より続く

 痛風と関節リウマチは、まったく違う病気ですが、医療の世界では一緒に扱われています。日本リウマチ学会のホームページを見ると、痛風は「リウマチ性疾患および類縁疾患」のなかに入っていますし、東京女子医科大学には「膠原病リウマチ痛風センター」があって、全国から悩める痛風患者を集めています。

 まずは痛風を見ていきましょう。健診の痛風項目と言ったら、尿酸値(UA)をおいて他にありません。中高年サラリーマンにとって、もっとも気になる数値のひとつでもあります。高いと痛風発作のリスクが上がるからです。

 尿酸はDNAのプリン塩基(DNAの主成分のひとつでプリン体とも呼ばれる)の代謝産物で、血中に溶け込み、腎臓から尿と一緒に排泄されます。しかし供給量が排泄量を上回ると、次第に血中濃度が上がってきます。

 尿酸の主な供給源は、プリン体を多く含む食品です。ご存知のとおり、その多くが魚介類や肉など「美味しいもの」で占められています。しかもビールなどにもたっぷり含まれているため、焼き鳥とビールなどは、かなり危険な組み合わせと言えます。

 尿酸の排泄量は、血液のpH(酸性・アルカリ性の度合い)によって大きく左右されます。正常な血液はpH7.4前後と、ごく弱いアルカリ性に保たれていますが、ほんの少しpHが下がる(酸性側に振れる)だけで、尿酸が血液に溶けにくくなるため、腎臓からの排泄量が減ってしまいます。血液のpHは、主に食事の内容によって変化します。血液を弱アルカリ性に保つためには、野菜、果物、海藻、キノコなどが良いと言われています。

 また仕事のストレスや、過度の運動やダイエットで、血液のpHバランスが崩れることもあります。とくに筋トレは要注意です。尿酸は新陳代謝やエネルギー代謝が活発になると、筋肉で大量に作られるからです。

 ほかにもサウナやスポーツで大量の汗をかくと、水分が減った分だけ血液が濃縮されて、一時的に尿酸値が上がります。

 尿酸値が高い状態が続くと「高尿酸血症」と呼ばれ、痛風発作のリスクが上がってきます。腎臓で排泄しきれない余分な尿酸は、血液中のカルシウムと結合して尿酸カルシウムとなり、結晶を作り始めます。結晶は比重の関係から、下半身に沈んでいき、足の先端(とくに親指の付け根)や踵、膝などの関節に沈着するのです。

 それがある程度溜まってくると、白血球が外敵と見なして攻撃を開始するため、激しい炎症が生じて激痛を引き起こす(痛風発作)というわけです。

 患者の95パーセントは男性です。以前は中高年が罹る病気でしたが、最近は20代、30代でも発症するひとが増えてきています。また女性の患者も徐々に増えていると言いますから、女性だから安心というわけにはいきません。