放っておくと「人工透析」の恐れも…「腎臓病」の早期発見には健診結果のこの項目に注意!

AI要約

尿検査によるCKD(慢性腎臓病)の重要性と概要について解説。

CKDの進行や症状、人工透析の負担について警告。

CKDになっても人工透析が必要なほど進行するケースは多くないが、コストや負担が大きい現実。

放っておくと「人工透析」の恐れも…「腎臓病」の早期発見には健診結果のこの項目に注意!

 毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。

 BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。

 『健診結果の読み方』連載第34回

 『「人工透析」が必要になるかもしれない⁉…「尿検査」でチェックしている「CKD」を知っていますか? 』より続く

 血液中の老廃物を、腎臓がどれだけ濾しとって尿に排泄できるかを表す指標で、クレアチニン値と性別・年齢をもとに、定められた計算式で算出します。慢性腎臓病(CKD)のスクリーニングに用います。

 CKDとは、2002年にアメリカ腎臓財団が提唱した新しい概念で、慢性的に進行するすべての腎臓病の総称です。糖尿病性腎症や高血圧性腎症、慢性糸球体腎炎などが含まれます。

 いずれも初期には、ほとんど自覚症状がありません。だんだん進行してくると、夜間にオシッコで何度も起きる、足にむくみが出る、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が出てきます。しかしそれらは別の病気や、単に年をとっただけでも出てくる症状と同じなので、「年のせい」と思って病院に行かず、悪化させてしまうひとが少なくありません。

 しかし放っておくと、次第に腎臓が弱って、最後は人工透析に行きついてしまうこともあります。とくに日本は人工透析の患者が増え続けており、2021年末には約35万人に達しました。

 (社)日本生活習慣病予防協会によれば、CKDの患者数は、潜在患者(病院を受診していない患者)を含めて約1330万人だそうです。一方、人工透析の新規患者数は、毎年3万~4万人。ですからCKDだからといっても、人工透析が必要になるひとは必ずしも多くはありません。

 ただし透析には1人当たり年間約500万円の医療費が必要です。その大半が健康保険などから支払われているため、保険財政にとって大きな重荷です。

 患者にとってはもっと重荷です。毎週3回、1回当たり4時間ほど、人工透析器につながれて過ごすことになります。当然、食事制限や飲み物制限もあります。あまりに不便で苦痛なので、発展途上国などの若者から採った腎臓が、国際的に売買されているのはご存知のとおり。犯罪に手を染めてまで逃れたいのが、腎臓透析というわけです。