奄美大島産カカオでチョコレートを! 栽培規模拡大、繰り返す試作、新たな特産品作り目指し日々奮闘中【鹿児島発】
鹿児島・奄美大島の瀬戸内町で、チョコレートの原料であるカカオの栽培に取り組む男性がいる。
清水健太郎さんは神奈川県出身で、2013年に古志集落に移住し、手探りでカカオの栽培に取り組んでいる。
収穫したカカオの実から、自家製のチョコレートを作り始め、地元で評判になっている。
清水さんはカカオの苗木を購入し育て始め、5本の木を育てているが、日本の四季での栽培は難しい状況であった。
初めて実をつけた時の喜びを語り、2024年に収穫したカカオの実を使ってチョコレート作りに挑戦している。
清水さんはカカオ豆を発酵させてチョコレートを作り、地元の人々も試食し好評を得ている。
取材された記者も自家製チョコレートを絶賛し、清水さんの取り組みが注目されている。
鹿児島・奄美大島の瀬戸内町で、チョコレートの原料であるカカオの栽培に取り組む男性がいる。カカオは多くが外国で栽培されているが、地元産カカオで作ったチョコレートを特産品にしようと奮闘中だ。
瀬戸内町の古志集落にある農業用ハウスでは、特産のパッションフルーツが栽培されていて、その片隅にカカオの木がある。
木の枝や幹にぶら下がる、黄色く熟したカカオの実を収穫していく。熟した実は、大きいもので長さ20cm、直径13cmにもなる。
チョコレートの原料になるのは、実の中にある種子「カカオ豆」だ。1回の収穫で5kg~10kgくらい採れる。
栽培を手がける清水健太郎さん(47)は神奈川県出身で、2013年に夫婦で古志集落に移住した。
友人の勧めで、5年前に関東の熱帯植物専門店で、カカオの苗木を購入し育て始めた。しかし、栽培方法が分からず、身近に聞ける人もいなかったため、ネットで調べたという。清水さんは「英語の論文とか、向こう(生産地)の動画とか、日本での情報はほとんどないので手探りでした」と当時を振り返った。
カカオは、アフリカのコートジボワールやガーナ、インドネシアなど、高温多湿の地域で多く栽培されている一方、四季のある日本では栽培が難しいとされる。購入した約20本の苗木も、多くは成長しなかったが、2022年に2メートルほどに育った木を鉢から土に移植したところ、2023年には初めて小さな実をつけた。現在は5本を育てている。
清水さんは「うれしかったですね。最初に1cmくらいの実がついた時は『ウオー!』と思いました」と当時の喜びを語った。
2024年には収穫できるまで実が大きく育ち、熟した順に1月から3回に分けて、約50個を収穫した。
カカオの実を使ってチョコレートを作ってみようと考えていた清水さんに、カカオ70%のチョコレートを作ってもらった。チョコレート作りに欠かせない工程もネットで調べ、試作を重ねてきた。
簡単に説明すると、発酵させたカカオ豆を焙煎(ばいせん)して乾燥させ、フードプロセッサーで攪拌(かくはん)していく。
作り始めて30分、柔らかいチョコレートができあがり、型に流し込み冷蔵庫で固める。
取材した日は、清水さんのカカオ栽培に注目している瀬戸内町農林課の泊広明さんが訪れ、チョコレートを試食。「以前よりも酸味とかが感じられなくなり、食べやすくなっています」と話す。
ちなみに、取材した記者は「カカオの苦みもあり甘さもあって、しっかりとチョコレートの味がします」と自家製チョコレートを堪能していた。