アメリカの小学校で教えられる「威張ること」と「リーダーシップ」の違い。友達に“命令”する息子にかけた先生の“ある言葉”とは
息子が自己主張が強く、友達に対してボスのような態度を取ることがあったが、先生からリーダーとしての違いを教えられた。
アメリカの教育では自己主張だけでなく、人の意見を聞くことの大切さも教えられていること。
トーキング・スティックというコミュニケーションツールを通じて、意見を述べることと人の意見を聞くことの重要性が子供たちに伝えられている。
アメリカでシングルマザーをしながら、子育てについて発信しているひろこです。
私の7歳の息子は自己主張が強く、目立つのも大好き。
そんな性格なので、お友達の中でもリーダー的な存在になりたがっていました。
以前自宅に数人のお友達を呼んで遊んでいた時、遊ぶルールなどを自分で勝手にどんどん決めていく息子。
息子の自分本位な態度が少し気になっていました。
そんなある時、学校の先生からこんな報告を受けました。
「息子くんはお友達に対して、少しBossy(ボスのような)な態度を取ることがあります」
つまり威張った態度で友達に接していることがあると。そんな態度を取っていたので、当然お友達からも煙たがれてしまい、結局息子本人も寂しい思いをしていました。
そのことを心配してくれた先生が、威張ることと、リーダーシップを持つことの違いについて、息子にこんな風に話してくれました。
お友達が一緒に遊んでくれなくなって悲しんでいる息子に、
「どうしてお友達は一緒に遊ぶのが嫌になっちゃったのかな?
〇〇くん(息子)は、誰かに命令されて自分の話を聞いてもらえないのは嬉しい?」
と息子に考えさせたあと、
「リーダーって自分のやりたいように人に命令する人じゃなくて、みんなの話を聞ける人だよね。どっちの人になりたいかな?」
と話してくれたそうです。
リーダーこそ人の意見を聞かなくちゃいけないと、大人の私もハッとするようなお話でした。
アメリカの教育というと、自己主張ができる人を育てるというイメージがありますが、同じくらい「人の意見を聞くこと」の大切さもしっかり教えているんだなと感じました。
同じようなことを感じた出来事が他にもあります。
以前息子が学校でこんなものを作って持ち帰ってきました。
木の枝にカラフルな毛糸が巻かれていて、先に羽が付いた、「トーキング・スティック」というものです。
「これを持ってる人だけがお話をできるんだよ!」
と息子が言うのでどんなものか調べてみると、ネイティブアメリカンの人達が大切なことを決める時に使うコミュニケーションのツールでした。
円座になってみんなで話合いをする時、トーキングスティックを握っている人だけがその場で発言をすることができて、このスティックを握っている間は、自分の意見を自由に話すことができます。
その意見に賛成でも反対でも、周りの人は口を挟まずにその人の話を最後まで真剣に聞くというのがルール。
自分の番が終わったら次の人にスティックを渡して、今度は自分が聞く側に回ります。
自分の意見を話すこと、例え自分とは意見が違っても相手にリスペクトを持つことを目的とした伝統的なツールです。
アメリカの小学校では、自分の意見を言う練習と、人の意見を聞く練習をするためにこのスティックを使うことがあるそうです。
途中でつっかえたり、上手に話せなくても、みんな真剣に話を聞いてくれるので、子ども達は安心して自分の意見を話すことができます。
自分の話を聞いてもらえるとどんな気持ちになるかを子どもが実感できるので、人の話を聞くことの大切さも学べる素敵な方法だなと思いました。