月探査機「SLIM」が岩石撮影、月の起源解明につながる可能性も…「カンラン石」のデータ確認

AI要約

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月探査機「SLIM(スリム)」が月面で撮影した岩石を分析した結果、マントルの主成分である「カンラン石」が確認された。

カンラン石を含む岩石の発見は、月のマントル由来を示唆し、月の起源の解明につながる可能性がある。

マントル由来の岩石の分析が今後の月探査に重要であり、カンラン石の研究を通じて月と地球の謎を解明したいという意欲がある。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月探査機「SLIM(スリム)」が月面で撮影した岩石を分析したところ、マントルの主成分とされる「カンラン石」の存在を示すデータが確認された。立命館大や会津大などの研究チームが27日、千葉市で開催中の日本地球惑星科学連合大会で発表した。月の地下にあるマントル由来だとわかれば、月の起源の解明につながる可能性がある。

 SLIMは、搭載するカメラのオートフォーカス機能を使い、月面の岩石10個を観測した。チームが、岩石に反射した光の波長を分析した結果、「ダルメシアン」と名付けた岩石1個で、カンラン石を多く含んでいることを示すデータを取得した。着陸地点周辺には、天体が衝突して露出したマントル由来のカンラン石が多くあるとされる。

 月の起源を巡っては、巨大な天体が地球にぶつかり、飛び散って出来たとする説がある。マントルは月の体積の大部分を占め、マントル由来の岩石の組成がわかると、月全体の特徴も推定できる。地球の岩石と比較すれば、月の成り立ちがわかるかもしれない。会津大の大竹真紀子教授(惑星科学)は「カンラン石の分析を進め、月と地球の謎を明らかにしたい」と話す。

 国立天文台の並木則行教授(惑星科学)の話「マントル由来の岩石と確かめられれば、今後の探査につながる重要な成果だ」