【新種の恐竜】ササヤマグノームスの復元画が「めっちゃかわいい」とSNS盛り上がる。イラストレーターに理由を聞いてみた

AI要約

兵庫県丹波篠山市で新属新種の角竜類の化石が発掘され、かわいらしい恐竜「ササヤマグノームス」が復元された。

化石は1億1000万年前のもので、北アメリカとアジアの動物相交流が始まる重要な時期に生息していた。

復元画を製作したサイエンティフィックイラストレーターの田中花音さんによると、1か月かけて丁寧に描かれた。

【新種の恐竜】ササヤマグノームスの復元画が「めっちゃかわいい」とSNS盛り上がる。イラストレーターに理由を聞いてみた

兵庫県丹波篠山市で発掘された恐竜化石が、新属新種の角竜類だと判明したと9月4日に発表されました。

兵庫県立大学のプレスリリースによると篠山層群から発見されたことから「ササヤマグノームス・サエグサイ(篠山の地下に隠された財宝を守る小人)」と名付けられたこの恐竜。未成熟の個体ということもあり、復元画がとってもキュートなんです。

兵庫県立大学などの国際研究チームの研究成果が、イギリスの学術誌に掲載されたそうです。2007年10月以降、丹波篠山市で地元の地質愛好家・足立洌(あだち・きよし)さんらによって発見された恐竜の化石が、新属新種だと判明したという内容です。

発表によると、化石が発見された地層は約1億1000万年前のもので、化石は植物食恐竜(角竜類)のものだと判明。実際に発見された化石の写真や、化石をもとに製作された復元画も掲載されています。

「ササヤマグノームス」が生きていたと見られる1億1000万年前という時期は、「ベーリング陸橋の形成によってアジアと北アメリカの動物相の交流が始まる重要な時期」として知られているとのこと。

この発見によって、白亜紀中頃のユーラシア大陸東縁部における原始的角竜類の多様性や北アメリカの角竜類との近縁関係が明らかになり、篠山層群から産出する脊椎動物化石における系統分類学の重要性を示唆するものだと発表ではまとめられています。

ササヤマグノームスについてSNSでは、

「チビがニュースで復元図見て『めっちゃかわいいやーーん』てキャッキャしてた」

「篠山の地下に隠された財宝を守る小人だと~? ロマンチック~」

「新種の恐竜ササヤマグノームス可愛かった」

「ササヤマグノームス日本にトリケラの仲間がいたなんてすごい発見です!」

とさまざまな反響が寄せられていました。

全長80cm、キリッとした顔と、少し丸みを帯びた体の「ササヤマグノームス」はかっこよくも、愛らしくも感じられる恐竜ですね。

では、発見された化石からどのように復元画が制作されるのでしょうか? BuzzFeed JAPANは、復元画制作を担当したサイエンティフィックイラストレーター・デザイナーの田中花音さん(@canon_ofuton)を取材しました。

――どういった経緯でササヤマグノームス復元画を描くことになったのでしょうか?

「私がヨーロッパでインターンをしていた際に知り合った研究者の方が、主著者である田中先生(兵庫県立大学の田中公教准教授)に私のことを紹介してくださったそうです。ご縁に感謝しています」

――復元画を製作するにあたり、どういった資料を提供されたのでしょうか。

「プレスリリースにも掲載されている発見された化石をはじめ、近縁種の化石や全身骨格などの写真も参考資料として共有いただいております。その際は近縁種の化石や体型との違いは何かを丁寧に説明いただきました」

――公開された「ササヤマグノームス」の復元画は、“かっこよくも、どこかかわいらしい”と感じました! 資料からどうやってイメージを膨らませましたか?

「未成熟の個体なので『かっこよくも、どこかかわいらしい』というのは最高の褒め言葉かなと思います! ありがとうございます」

「制作していた時は生時の様子を忠実に描き出すことしか考えていなかったので、実はかわいらしくする気はありませんでした。結果的にかわいらしくなったのかなと思います」

「提供いただいた化石そのものの写真とフリルの小さい原始的な角竜類の資料、家にある恐竜の図鑑などを見ながら生時のイメージを頭の中で膨らませていきました」

――イラストの制作にはどのくらいの時間を要しましたか?

「約1カ月です。論文の出版時期はもちろん先生の方では決められないので、出版が早まっても対応できるように早めに仕上げなければならない、かつ納得のいく形になるまで細部にもこだわりたいという条件の中で1カ月間メールでたくさんやりとりさせていただきました」

「余裕を持って早めに完成できたのは、田中先生のわかりやすい修正指示のおかげかと思います」

――こだわったポイントや、難しかった、時間がかかったポイントなどあれば教えてください

「ポーズの選定から仕上げの体色まで先生方に確認をいただきながら(時には図にびっしりコメントを入れていただきながら)丁寧に進めたので、全てこだわっています!」

「その中でも頰骨、頬の部分をどこまで側方に尖らせるかが難しく、背面と側面からみた頭骨の写真とにらめっこしながら何度も描き直しました。あまり尖らせ過ぎないように、でも僅かに尖っている……という見極めが大変でした」

「また、腹部の皺(しわ)なども日を置いて何度も見返し修正することで、自然な形に近付けられるように努力しました」

「化石からは推定できない体色についても先生に相談させていただいて、新しくつけられる種名の意味から現生の半地中性のヘビであるジムグリを参考にすることに決めました。復元画を描く際にどうしても想像に委ねられてしまう体色ですが、意味を持ってその色や柄を選定できたのが個人的に良かったです」