ボーイング宇宙船の飛行士2人をスペースX宇宙船で帰還–NASAが検討、推進系に不安

AI要約

米NASAが、Boeingの宇宙船「CST-100 Starliner」の宇宙飛行士をSpaceXの宇宙船「Crew Dragon」で帰還させる検討を行っている。

Starlinerの帰還時期が未定となっており、Crew-9のミッションも1カ月延期された状況。

NASAは滞在期間が2カ月に及ぶStarlinerの問題に対応し、物資の補給についても対応している。

ボーイング宇宙船の飛行士2人をスペースX宇宙船で帰還–NASAが検討、推進系に不安

米航空宇宙局(NASA)は米国時間8月7日、米Boeingの宇宙船「CST-100 Starliner」の宇宙飛行士を、Space Exploration Technologies(SpaceX)の宇宙船「Crew Dragon」で帰還させることを検討している。海外メディアのSpace.comが報じた。

 Starlinerは、初の有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)として2人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に無事に輸送した。しかし、ヘリウム漏れやスラスターの問題から地球への帰還時期が未定となっている。SpaceXによる宇宙飛行士ミッション「Crew-9」も1カ月延期された(Crew-9として打ち上げられたCrew DragonがISSとドッキングするには、StarlinerがISSとのドッキングを解除する必要がある)。

 8月7日に開かれた記者会見でNASAの宇宙オペレーション本部で副本部長を務めるKen Bowersox氏は「Starlinerで帰還させるだけではなく、別の宇宙船で帰還させることも可能だ」と発言。商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program:CCP)のマネージャーを務めるSteve Stich氏は「StarlinerはISSから安全に切り離せるが、帰還時にスラスターがどのように動作するか不明だ」と述べている。

 StarlinerでISSに運ばれた2人、Butch Wilmore氏とSuni Williams氏がCrew-9のCrew Dragonで帰還する場合、Crew-9に予定されている4人のうちの2人を乗せて打ち上げられることになる。そのケースでは、StarlinerとCrew Dragonの合計4人が2025年2月頃に地球に帰還することになる。

 NASAは、ジェット推進研究所(JPL)など他の部門の推進系システムの専門家を集めて、NASAとBoeingのエンジニアが地上と宇宙で進めた試験の結果などについて見落としがないか確認作業を進める。

 CFTでISSに運ばれた宇宙飛行士の滞在予定は1週間程度だった。Starlinerの問題から滞在期間は2カ月が経過した。

 ISSにはもともと、第71次長期滞在クルーとして7人が滞在中であり、そこにStarlinerの2人が加わり、現在は9人が滞在している。食料などの物資が足りるのか不安視されることがあるが、NASAは、ISSには十分な物資が備蓄されており、問題はないとしている。

 NASAは、ISSへの宇宙飛行士の輸送を委託するCCPとしてSpaceXとBoeingを選定。SpaceXのCrew Dragonはすでに2020年11月から実運用されており、Crew-9は9回目のミッション(CFTを含めると10回目)。BoeingのStarlinerは実運用前の段階。Starlinerの実運用ミッションである「Starliner-1」は2025年2月から2025年8月に延期されている。