世界スマホ、4四半期連続で成長 年後半はAIに期待

AI要約

世界スマートフォン市場は、2024年4~6月に4四半期連続で成長したが、完全な回復には至っていない。

サムスンとアップルが1、2位を維持し、競争が激化。中国メーカーは低価格端末に注力。

AI搭載スマートフォンの台数が増加し、AI技術がスマホ市場の新たな成長要因になる可能性がある。

 米調査会社IDCがこのほど公表したリポートによると、2024年4~6月の世界スマートフォン出荷台数は4四半期連続の増加となり、市場回復に向けた勢いが高まった。一方、需要はまだ完全回復しておらず、課題は残されているという。

■ スマホ出荷6.5%増、24年4~6月 完全回復に至らず

 同四半期の世界スマホ出荷台数は前年同期比6.5%増の2億8540万台だった。スマホ市場は23年に過去10年で最低の出荷台数を記録したが、同年後半から徐々に回復し、24年1~3月も7.8%増と好調に推移していた。

 これで4四半期連続のプラス成長である。4~6月は上位5社の出荷台数がそろって増加した。だが、IDCは「スマホ市場はまだ完全に回復していない」と指摘する。

■ サムスンとアップル、首位と2位を維持

 24年4~6月のメーカー別出荷台数を見ると、韓国サムスン電子が5390万台で、2四半期連続で首位に立った。同社出荷台数の前年同期比伸び率は0.7%、市場シェアは18.9%だった。

 これに、米アップルが4520万台で続いた。アップルの出荷台数は1.5%増加、市場シェアは15.8%となった。アップルは、23年に年間出荷台数で初の首位に立ち、同年10~12月も首位だったが、翌24年1~3月に2位に転落。この4~6月も2位になった。

 IDCによれば、上位勢での競争が激化し、価格の二極化が進んでいる。サムスンとアップルは1、2位を維持し、高価格帯スマホ分野における需要増の恩恵を受けた。一方、中国メーカーの多くは需要低迷の中、シェア拡大を目指して低価格端末に力を注ぐ。

 24年4~6月の出荷台数3位は、中国・小米科技(シャオミ)で、その市場シェアは14.8%。この後、中国vivo(ビボ)と中国OPPO(オッポ)が続いた。vivoとOPPOのシェアは、それぞれ9.1%と9.0%だった。シャオミとvivoは新興国と中国市場が好調で、2桁成長を達成した。OPPOは中国国外で事業を拡大している。

■ AIスマホの登場で競争本格化

 IDCシニアリサーチマネージャーのウィル・ウォン氏は、「24年4~6月のプラス成長はメーカーにとって安心材料となった」としながらも「これは、一部、比較対象となる前年同期の数値が低いことによるもの」と指摘。全体的な回復ペースはまだ緩やかな状態だという。

 「ただし、それでもスマホ市場は活気に満ちている」(IDCシニアリサーチディレクターのナビラ・ポパル氏)。平均販売価格(ASP)の上昇と、生成AI(人工知能)ブームがその要因だと分析する。

 24年における、生成AI搭載スマホの出荷台数は、2億3400万台で、全スマホ出荷台数に占める比率は19%になるとIDCは予測。年後半にはさらに多くのAIスマホが登場する。4~6月はその前哨戦のようなものだった。本格的なスマホ競争が始まるのはこれからだという。AIは、5G(第5世代移動通信システム)や折りたたみ型スマホに次ぐ成長の原動力になる可能性があるとしている。

 アップルは、24年6月に開いた開発者会議「WWDC24」で、スマホ用OSなどに搭載する独自生成AIシステム「Apple Intelligence」を発表した。秋に発売する新モデルにこの機能が搭載される見通し。サムスンは24年7月にイベントを開き、折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold」「Galaxy Z Flip」の新モデルと、これらに搭載するAI機能を発表した。