AI導入が企業の「収益と利益」に実質的な効果を生みつつある

AI要約

AI技術の急速な導入とその成果について

企業が取るべき生成AIの導入に向けた実践的アプローチ

AIが世界全体にもたらすポジティブな影響について

AI導入が企業の「収益と利益」に実質的な効果を生みつつある

過去1年間で生成AI(人工知能)の急速な導入が進み、企業はその成果を目にし始めている。米調査会社フォレスターの2024年第2四半期AIパルス調査によれば、生成AIを意思決定に採用した企業におけるポジティブな影響のトップ3は、顧客体験の向上(42%)、従業員の生産性向上(40%)、収益増加(34%)である。

生成AIに対するFOMO(Fear of Missing Out:取り残される恐怖)を感じている企業は、以下を実践すべきだ。

・生成AIの用語に慣れ親しむ

大規模言語モデルは生成AIエコシステムの一部にすぎない。異なるモデル、プロンプト技術、カスタマイズアプローチを説明する新しい語彙が登場している。ビジネスリーダー、データ・技術の最高責任者、データ専門家は、これらの新しい用語に精通し、共通の言語で話せるようにする必要がある。

・業種や業務内容に応じて、適切なユースケースを選択する

生成AIは水平的な関連性を持つ技術だが、異なる業界の垂直統合にさまざまな形で影響している。たとえば、ヘルスケアにおけるユースケースは保険や銀行のそれとは大きく異なり、人事のユースケースはマーケティングのそれとはまるで違ってくる。自社のビジネスコンテキストに合致し、戦略に沿ったユースケースを優先することが重要だ。

・最初から信頼性と安全性を重視する

信頼の欠如、プライバシーとセキュリティーの懸念、リスクとガバナンスの問題が、企業が生成AIを採用する際に最大の障壁となる。6ヶ月間にわたりこうしたAIの整合性(アラインメント)について調査してきたが、その結果は懸念すべきものであった。整合性の問題が起きることは避けられないが、積極的な対策を採ることでリスクを軽減できる。 

■AIは世界全体にも恩恵をもたらしている

AIの恩恵を受けているのは企業や技術ベンダーだけではない。多くの企業、NGO、政府もAIを利用して人々や地球に対してポジティブな影響を与えている。3つの分野を紹介しよう。

・メンタルヘルス治療

予測AIは医療診断で長年使われてきたが、いまや生成AIもメンタルヘルス治療に進出している。米ロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ病院は今年初め、拡張現実の中で会話療法を提供するチャットボット「eXtended-Reality Artificially Intelligent Ally(拡張現実人工知能アリー)」を開発したと発表した。インドでは、Iwill Therapy(アイウィル・セラピー)がマイクロソフトを活用し、多くの現地言語でチャットボットベースの認知行動療法を提供している。

・デジタルアクセシビリティ

生成AIは、デジタル領域へのアクセスを民主化すると期待されている。今年、アップルはApple Podcastの自動文字起こしの提供を開始した。これにより、聴覚障害者や特定の認知障害を持つ人々、聴くことよりも読むことを好む人々、特定のコンテンツを探してエピソードを検索したい人々にとってアクセス性が向上した。

・持続可能性

AIのカーボンフットプリント(商品・サービスのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量)についての議論が多い中で、AIと持続可能性を同時に語るのは不誠実に思えるかもしれないが、一部の企業は環境への影響を軽減するためにAIを活用している。たとえば農業では、ロボット工学とAI技術を組み合わせて除草剤の使用量を最大90%削減している。AI搭載のスマートセンサーにより、水の消費量を40%以上削減できるとの研究結果もある。また、カナダのAI研究機関であるミラ研究所は、生成AIを活用して世界中の任意の場所における気候変動の影響予測を可視化している。

 

結局、生成AIはただの技術であり、他のすべての技術と同様に、善にも悪にも使用できる。適切な結果を残せるかは使い方次第であることを忘れてはならない。